ソーシャルメディアのデータ利用について思うこと

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もう旧聞に属するが、昨秋公開され話題となったエスエス製薬の「カゼミル」。直近24時間にツイートされたTwitterのデータから、「風邪」、「カゼ」、「かぜ」など風邪関連ワード、そして「のど」、「鼻水」、「さむけ」、「頭痛」、「せき」、「熱」など症状関連ワードを抽出し、ユーザーが公開している現在地データを参照した上で、都道府県単位で風邪の流行状況をアニメーションによって可視化している。

たしかにアイデアもアニメーションも面白いのだが、見せ物にしてしまっては、何かもったいない気もする。せっかくリアルタイム医療情報と位置情報を把握しているのだから、たとえば「全国かぜ予報」みたいな、生活者の健康管理に役立つようなサービスへ展開できるかも知れないからだ。それに全国診療所の風邪患者来院データなどと合わせると、もっと生活に役立つサービスに精緻化できるかもしれない。

このケースでわかることは、ツイートのリアルタイムデータから医療情報を抽出することが技術的に可能だとして、次にそれをどのように実際に有効活用するかという段のノウハウを私達はまだ持っていないということだ。たとえばこれを、従来のレガシー調査の延長で考えていくことはとても容易なのだが、この「かぜみる」のような斬新な発想に決して到達することはないような気がする。 続きを読む