講演「闘病体験の共有と傾聴 ~ソーシャル・リスニングの時代へ~」のお知らせ。

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このたび「医療の未来を考える会」様からのご依頼を受け、来る6月19日(日)に開催される「第4回 医療の未来を考える会」で講演をおこないます。全体のテーマは「医療情報と患者さん Health2.0で医療が変わる」とのこと。当方は「闘病体験の共有と傾聴 ~ソーシャル・リスニングの時代へ~」と題し、「闘病ユニバースの生成、TOBYOプロジェクトの現状、ソーシャル・リスニング、dimensions」などを中心にお話しする予定です。

特に今年に入ってから、私たちは「リサーチ・イノベーション、ソーシャル・リスニング」など新しいテーマをTOBYOプロジェクトやdimensionsに導入しようとしているのですが、現時点における進捗状況をお伝えできると思います。どうか奮ってご参加ください。

実施要領は下記の通りです。またお申込みは、申し込みフォームを利用できます。 続きを読む

ソーシャルメディアのデータ利用について思うこと

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もう旧聞に属するが、昨秋公開され話題となったエスエス製薬の「カゼミル」。直近24時間にツイートされたTwitterのデータから、「風邪」、「カゼ」、「かぜ」など風邪関連ワード、そして「のど」、「鼻水」、「さむけ」、「頭痛」、「せき」、「熱」など症状関連ワードを抽出し、ユーザーが公開している現在地データを参照した上で、都道府県単位で風邪の流行状況をアニメーションによって可視化している。

たしかにアイデアもアニメーションも面白いのだが、見せ物にしてしまっては、何かもったいない気もする。せっかくリアルタイム医療情報と位置情報を把握しているのだから、たとえば「全国かぜ予報」みたいな、生活者の健康管理に役立つようなサービスへ展開できるかも知れないからだ。それに全国診療所の風邪患者来院データなどと合わせると、もっと生活に役立つサービスに精緻化できるかもしれない。

このケースでわかることは、ツイートのリアルタイムデータから医療情報を抽出することが技術的に可能だとして、次にそれをどのように実際に有効活用するかという段のノウハウを私達はまだ持っていないということだ。たとえばこれを、従来のレガシー調査の延長で考えていくことはとても容易なのだが、この「かぜみる」のような斬新な発想に決して到達することはないような気がする。 続きを読む

AskingからListeningへ

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いよいよdimensions開発の追い込み段階に入った。予定通り、7月からのサービスインへ向け疾走中。ここへ来て、これまでてんでバラバラに存在していた事々が、まるでジグソーパズルのピースが嵌るように、やっと徐々に明瞭な姿形を取りはじめてきたように感じられる。

これまで、dimensions開発の過程でいろいろ思い悩むことも少なくなかった。だが結局のところ、それらはdimensionsの応用領域あるいは守備範囲がきわめて広いところに起因する。何を機能の柱とし、一体どんな理解をしてもらえばよいか、絞りきるのが難しいと思えた頃もあった。

さらに、コンセプト開発の初期段階では見えていなかった課題が次々に立ち上がり、その都度あれこれ思考を重ねているうちに、たとえば「リサーチ・イノベーション」など従来のレガシー調査を乗り越える方向が見えてきたり、また「リスニング・プラットフォーム、ソーシャル・メディア・リサーチ」など今日的なイシューが私達の視界に飛び込んできたりもした。 続きを読む

雨のdimensions

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なんだか昔の歌謡曲みたいなエントリタイトルだが、終日雨。雨の中をミーティングに出かけたが、雨のためでもないだろうが道を間違え右往左往。目的地に遅れて到着。失礼。

dimensionsについてディスカッションをおこなったが、いくつか重要な「気づき」をいただいた。dimensionsでは病名ごとに闘病ドキュメントを薬品、治療法、機器、医療機関の四つの次元に分けて分類しているが、これではある意味、患者体験の全体像が分解寸断されていることになる。つまり、患者体験の連続した全体像をコンパクトに再構成する必要があることに気付かされたのだ。感謝。

ではこれをどうやって実現するかだが、dimensionsの基本仕様は変えずに、オプションメニューとして追加することになる。具体的にはオーダーを受けてターゲット病名を決め、限定した病名のデータだけを対象に二次加工をおこなう。データ処理だが、エントリ日付から時間軸を構成し、すべての次元のマーカー(キイワード)をマッピングしていくようなことになるだろう。大雑把だがそんなイメージだ。今後、細かく詰めていく。 続きを読む

ソーシャル・リスニング・プラットフォーム

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昨日エントリで、先月発表された電通のソーシャル・リスニングのフルサービス「Sora-lis」について少し触れたが、この「ソーシャル・リスニング(傾聴)」という言葉が特に印象に残った。まさにdimensionsにぴったりのフレーズだ。しかしあとで調べてみると、これは何も電通の専売特許ではなく、不覚にもすでに米国マーケティング界で広く用いられている言葉であることがわかった。

ここ数年のソーシャル・メディアの爆発的展開によって、従来のマーケティングはソーシャル・メディア・マーケティング(SMM)へ進化することが要請され、同時に従来のマーケティング・リサーチもソーシャル・メディア・リサーチ(SMR)へと進化し、その有力なリサーチ手法としてソーシャル・リスニングが注目されるようになったようだ。三年前に出た「グランズウェル」(シャーリーン・リー著、Harvard Business School Press)には次のような記述が見られる。

「マーケターや開発チームの情報源となってきた市場調査部門は脇に追いやられ、リサーチ部門であれ、マーケティング部門であれ、傾聴を担当している部署が組織の意思決定を左右するようになる」(132頁)

すでに米国では多数のリスニング・ベンダーが登場しており、それぞれ工夫を凝らした「リスニング・プラットフォーム」を提供しているようだ。その中でもConverseon社とRadian6社(Salesforce.comが買収)がリーダー的存在であるらしい(The Forrester Wave.: Listening Platforms, Q3 2010)。日本では野村総研が「TRUE TELLER」というサービスを準備中であり、先述のように電通が「Sora-lis」をリリースしている。 続きを読む