DFC進行状況

3月も今日で終わり、早いもので明日からもう4月。TOBYOプロジェクトはここ3ヶ月の間、DFC商品化のための検討とテスト制作、そして検索エンジン「TOBYO事典」新規クロールの二つに取り組んできている。TOBYO事典は来月4月半ば頃にバージョンアップできる予定で、現在1万4千サイト300万ページの検索対象をさらに増量し、闘病体験可視化領域を拡大する。このように検索エンジン側の可視化領域が拡大すれば、DFCでハンドリングする解析データも増え、一層精緻に医薬品等の消費者体験&評価を提供することが可能となる。

DFC(Direct From Consumer)商品化だが、これは医薬品、医療機器、医療機関などを消費者体験から分析する”Fact Finding Tool”を目指している。たとえばある医薬品について、それを実際に体験した消費者の声を公開された闘病ドキュメントから集め、その医薬品がどのように消費者から体験されたかを分析する素材を提供するものだ。まだ詳細を公開できる段階ではないが、このDFCは大きく二つのパートから成る。 続きを読む

病気になるほどインターネット・アクセスは減る?

ChronicDisease

先日エントリ「慢性疾患患者は健常者に比べインターネットへのアクセスは少ない? 」の続報。Pewの調査レポート「慢性疾患とインターネット」は、このグラフにこれ以上無いほどわかりやすく要約されている。

健常者のインターネット・アクセス率は81%だが、慢性疾患患者は疾患数が増すほどアクセス率は下がっている。また疾患ごとに見ると、肺疾患(68%)、がん(62%)、高血圧(57%)、糖尿病(50%)、心臓疾患(47%)と、明らかに健常者(81%)より低い。特に心臓疾患では健常者の6割程度と顕著な差がついている。

出典:“Chronic Disease and the Internet”,Pew Internet & American Life Projec

三宅 啓  INITIATIVE INC.

調査とマーケティング: 医療消費者ニーズをめぐって

先週エントリ「慢性疾患患者は健常者に比べインターネットへのアクセスは少ない?」だが、このような調査が日本でも実施される必要がある。日本では、医療分野におけるインターネットの消費者利用実態についてまとまった調査報告を見たことがない。当然ながら、米国Pewのように時系列で消費者のインターネット医療情報利用実態を追いかけるような調査もない。たまに、インターネット利用実態全体の中で医療関連トピックスが取り上げられるのを目にするが、ともかく圧倒的なデータ不足は否めない。

米国では今回のPew調査の意外な結果に様々な反響が起こっているが、よく考えてみると、医療機関に通院し医師のコントロール下で治療を継続している慢性疾患患者は、概してインターネットで情報探索を今以上におこなう差し迫った必要性はないのかもしれない。本当はもう少し他のデータを見ないと何とも言えないのだが、慢性疾患の治療を受けている一患者の立場からしてみると、なんとなく今回の調査結果の意味するところがわかるような気がする。

私たちはTOBYOプロジェクトを通じて、ネット上で自発的に体験を配信している闘病サイトを見続けてきたのだが、これら配信されている闘病体験は日本人全体の闘病体験の氷山の一角に過ぎないのもまた事実である。常識的に見てネットで自分の体験を公開している人たちは、闘病者の中でもかなりアクティブな人たちであることは想像できる。だが、水面下にある膨大な量の体験の実態は知るよしもないのである。一般的なインターネット利用調査などから見て、これらの人々もまずネットで医療情報収集をおこなっていると推測されるが、アクセス頻度などその微細な実態はわからない。 続きを読む

慢性疾患患者は健常者に比べインターネットへのアクセスは少ない?

PewInternet

3月24日、米国で発表されたインターネット医療に関する調査報告書「Chronic Disease and the Internet」が米国インターネット医療関係者に波紋を投じている。この調査は、ここ数年、米国で最も積極的にインターネットと医療に関する諸相を調査し問題提起してきたPew Internetが、California HealthCare Foundation の協力を得て実施したものだが、以下のように意外な結果となった。

  • 慢性疾患を持っていない米国成人の81%がインターネットにアクセスしている。
  • 慢性疾患を持つ米国成人では62%がインターネットにアクセスしている。

さらに、複数の慢性疾患を持つ者ほどインターネットへのアクセスは少なくなっている。

  • 一つの慢性疾患を持つ成人の68%がインターネットにアクセスしている
  • 二つ以上の慢性疾患を持つ成人では52%がインターネットにアクセスしている

上の二つの結果を合わせると、二つ以上慢性疾患を持っている成人は、慢性疾患を持っていない成人よりも、インターネットへのアクセス率はなんと約30%も低いことになる。これはたしかに衝撃的な結果だ。普通に考えてみれば、慢性疾患を持つ者の方がより医療情報ニーズは高く、インターネットへのアクセスも多いはずだからだ。 続きを読む

ヘルス・プロモーション・ビデオ、爆笑三題。


より良い医療を求めるよりも、健康に人生を送り医療にかからないことのほうが賢明である。そのために日頃の運動が重要なことは誰でもわかっているのだが、時間がとれなかったりして運動不足の人は多い。その背中を押すために社会的な運動促進キャンペーンがしばしば打たれるが、なかにはお説教みたいなものもあり、あまり記憶に残るものにお目にかかったことはない。しかし、このプロモーション・ビデオは非常に強力だ。これを見れば、皆たちどころに毎日運動するようになるに違いない。ちなみに、決めのコピーは以下の通り。

  1. 毎日の運動。より健康な生活のための最良の処方箋。
  2. 毎日の運動は、あなたの肌を自然に輝かせる。
  3. 毎日の運動は、すべての痛みを速やかに取り除く。

いったいどこで制作されたのだろう。おそらく東南アジアではないだろうか。しかし、このユーモアセンスとアイデアは強力だ。日本の広告クリエーティブからこのようなユーモアやアイデアが失われて久しい。三本目のビデオは、最後にお兄さんが笑うところがブキミ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.