患者SNSと社会的イノベーション

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米国の患者SNSをずっとウォッチングしてきているが、どこもかなり苦戦している。この原因をどう考えればよいのだろうか。唯一成功していると思われるPatientsLikeMeと比較すれば、なぜ一般の患者SNSが上手くいかないかが少しはっきりするような気がする。PatientsLikeMeの場合、治療方法がまだ存在しないような難病を中心にコミュニティづくりに取り組んでいる。一般の疾患ではなく、あえてかなり特殊な稀少難病を取り上げているところにこのSNSの独自性がある。ふつうなら、まず患者数の多い疾患に注目するところを、PatientsLikeMeはそれとはまったく逆の道を選んだわけだ。

このあたりを考えてみると、患者SNSと言うものが、汎用SNSとはかなり違うニーズを扱わなければならないということが、ぼんやりとだが理解できるはずだ。おそらくそれは、単なる「人的交流」ニーズにとどまるものではないのだろう。ではそれは何なのか。様々な仮説が成り立つだろうが、PatientsLeikeMeの場合、患者ニーズというものが畢竟「自分の病気を治すこと」であると理解し、そのためのデータ収集と共有のための一大システムを構築したわけだ。 続きを読む