2010/01
ウェブ医療サービスの事業成立与件
2010/01/06 水曜日 - 20:09:10 by 三宅 啓今年2010年は、2008年2月アルファ版からスタートしたTOBYOにとって、いよいよ挑戦の年となる。過去1年10ヶ月の間に、TOBYOは闘病ユニバースに存在する830疾患、1万8600サイトを可視化し、そのうち1万4000サイトが検索可能となった。闘病ユニバース全体はおよそ3万サイトと推定されるから、既にその60%が可視化されたわけだ。
このようにTOBYOプロジェクトの基本条件は整備され、ようやく次のステップに進むわけだが、昨年末に公開したTOBYO事業スキームをもう一度整理し直してみると次のようになる。 »もっと読む・・・ »
e-Patientsと参加型医療
2010/01/07 木曜日 - 19:47:34 by 三宅 啓
The Quantified Patient from e-Patient Dave deBronkart on Vimeo.
昨年のHealth2.0ムーブメントで特筆すべきことは、ベンチャー企業、IT企業、医療界など従来プレイヤーの他に、新たにe-Patientsと呼ばれる消費者・患者グループが参画してきたことだろう。旧来の患者会やアドボカシーなどとは違い、ウェブを積極的に活用して患者参加型医療の実現をめざす新しいタイプの医療消費者群が登場したわけだ。
この中心的存在が、これまで当ブログでもたびたび紹介してきた”e-Patient Dave”率いる”e-Patients.net”であり、昨年、このグループが中心になり「参加型医療学会」が結成され、このほど学術誌「Journal of Participatory Medicine」が創刊された。彼らがHealth2.0ムーブメントに参画してくることによって、Health2.0は新たに「参加型医療」という次世代医療のビジョンを獲得したのだと思う。 »もっと読む・・・ »
新春のブラック・スワン
2010/01/12 火曜日 - 16:07:08 by 三宅 啓昨年読んだ本の中で最も印象に残る一冊は、間違いなくタレブの「ブラック・スワン—-不確実性とリスクの本質」(ダイヤモンド社)だった。かつて「ガウス曲線のベル型カーブを頭に生やし」て仕事をしていた自分にとって、この本はまさに「ベル・カーブ、この壮大な知的サギ」(同書第15章)という事実を「これでもか!」と突きつけるものであり、そこに爽快感があった。
「ブラック・スワン(黒い白鳥)」とは何か?
むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。 (同書「内容紹介」より)
海外動向と今年のTOBYO
2010/01/13 水曜日 - 18:38:48 by 三宅 啓新年になって海外のHealth2.0関連ブログをざっと見てみたが、新規性のあるプロジェクトやテーマはあまり見つからなかった。だが、今年はHealth2.0コンファレンスが3回も予定されている。4月にパリ、6月にワシントン、そして10月にサンフランシスコ。特にパリ・コンファレンスだが、ヨーロッパでHealth2.0がどのように受容されるかが興味深い。しかし、2007年秋に第一回が開催されてから、今年でHealth2.0コンファレンスも四回目になるが、PatientsLikeMeやSermoに続く成功事例が出てこないのが気になる。昨秋ローンチされたアダム・ボズワースのkeas(キーアス)あたりに期待したい。
さて新年になって、Microsoftの検索エンジンBingが医療情報検索時のパワーアップを図ったようだ。まだ米国だけのサービスのようだが、病名などをキイワードに検索すると、関連症状、関連薬剤、関連医療機関のリストが表示される。さらにたとえば医療機関を選択すると、医療機関プロフィール、HHSが公開している当該病院の患者満足度データ、そして近隣医療機関などが表示されるなど、通常の検索結果以外に特別の医療関連情報を表示し、スピーディーで適切な医療情報検索を目指している。
闘病体験データの社会的活用についての考察
2010/01/18 月曜日 - 18:44:53 by 三宅 啓先週から風邪でダウンし、しばらくブログもお休み。しかし自宅で静養しながらも、いつのまにかTOBYOプロジェクトやウェブ医療サービスについて、つい「あーだこーだ」と考え込んでしまっていた。
「ネット上のすべての闘病体験を可視化する」ことがTOBYOプロジェクトのミッションであるが、この可視化作業の過程で蓄積された数百万ページの検索キャッシュによって、今度は医療を可視化していくことになる。つまり「患者の目」を通して、日本の医療実態がはじめて大規模に可視化されるわけだ。では、このように大規模に可視化されたファクト(事実)群は、社会的にどう活用されるのだろうか。
これまで「コンシューマ・サービスとプロフェッショナル・サービス」という文言で、TOBYOのコアデータの活用領域を述べてきたが、プロフェッショナル・サービスはさらに医療提供者に向けたものと、医療関連市場プレイヤーに向けたものに分けられるのではないか。そうなると結局TOBYOによって蓄積されたコアデータは、社会的には次の三方向へ提供されることになる。 »もっと読む・・・ »
PHRで患者と医師をつなぐ:NoMoreClipboard
2010/01/21 木曜日 - 09:25:34 by 三宅 啓これまで医療ITシステムと言えば、EMRやEHRなど医療機関側の情報システムを指すと考えられてきたが、HealthVaultやGoogleHealthの登場によって、PHRこそが「患者中心医療」や「参加型医療」を体現するものとして注目されはじめてきている。ところで、HealthVaultやGoogleHealthなど、個人医療情報のプラットフォームとしての大規模PHRは一応登場したわけだが、今後はそれらPHRプラットフォームと生活現場あるいは医療現場を結ぶきめ細かいサービスの開発が求められる。
今月18日、新たに発表されたPHRサービス“NoMoreClipboard”は、このようなきめ細かい「現場」とのマッチングを意図して開発されたようである。PHRを介して積極的に患者と医師を繋ぐことをめざしているところが注目される。特に医師側のワークフローと患者情報を効率的に結びつけることがうたわれており、PHRをベースにした医療現場の生産性向上を打ち出している。 »もっと読む・・・ »
患者SNSと社会的イノベーション
2010/01/22 金曜日 - 18:36:50 by 三宅 啓米国の患者SNSをずっとウォッチングしてきているが、どこもかなり苦戦している。この原因をどう考えればよいのだろうか。唯一成功していると思われるPatientsLikeMeと比較すれば、なぜ一般の患者SNSが上手くいかないかが少しはっきりするような気がする。PatientsLikeMeの場合、治療方法がまだ存在しないような難病を中心にコミュニティづくりに取り組んでいる。一般の疾患ではなく、あえてかなり特殊な稀少難病を取り上げているところにこのSNSの独自性がある。ふつうなら、まず患者数の多い疾患に注目するところを、PatientsLikeMeはそれとはまったく逆の道を選んだわけだ。
このあたりを考えてみると、患者SNSと言うものが、汎用SNSとはかなり違うニーズを扱わなければならないということが、ぼんやりとだが理解できるはずだ。おそらくそれは、単なる「人的交流」ニーズにとどまるものではないのだろう。ではそれは何なのか。様々な仮説が成り立つだろうが、PatientsLeikeMeの場合、患者ニーズというものが畢竟「自分の病気を治すこと」であると理解し、そのためのデータ収集と共有のための一大システムを構築したわけだ。 »もっと読む・・・ »
闘病データと参加型医療
2010/01/25 月曜日 - 20:43:44 by 三宅 啓先々週の風邪は治ったものと思っていたが、まだ本調子ではない。妙に暖かくなったかと思うと、今度はいきなり厳しい寒波襲来と、ここしばらく続く天候不順が原因か?
とは言え、春に向けTOBYOプロジェクトは行動して行く。収録闘病サイト数はようやく1万9000件に達した。ここのところ以前に比べ収録テンポを落としてきたが、これは従来よりも収録サイト選定に時間をかけているためだ。データ量、アクセシビリティ、トーンなど、本当に紹介したいサイトだけをかなり吟味している。今後、闘病DBから様々な形でデータを出力する予定だが、データソースの品質がますます重要になるからだ。
先週、「患者SNSと社会的イノベーション」というエントリをアップしたが、これを書き終えてTOBYOプロジェクトの位置づけがはっきりしたと思っている。もちろんTOBYOはSNSではないが、PatientsLikeMeとTOBYOプロジェクトは表面的にはまったく異なるサービスであるとは言え、実は根っこの部分で共通点があることに気づいたからだ。 »もっと読む・・・ »
次世代医療についての考察
2010/01/27 水曜日 - 19:06:12 by 三宅 啓ウェブは患者の医療参加を促進する土台となるだろう。ブログやtwitterを使用して、患者は自らの医療体験や知恵を社会に向けて簡単に配信することができる。そして公開された事実や闘病ティップスに関するデータは、社会の各セクターで共有され、医療にフィードバックされ、最終的に医療を変えて行く・・・・。そのようなイメージを明確な社会的ビジョンとして具現化することが、今、必要になっていると思う。
だがこの日本においては、そのような「イメージ」を描くことがまず困難であるという現実がある。「インターネットによって医療を変える」という声は、すでに10年前から聞かれたのであるが、では具体的に何がどう変わるかまでは考察されてこなかったのである。せいぜい遠隔医療など通りいっぺんの技術構想で、従来医療の延長線上に「未来医療」が語られるのが関の山であり、本質的な医療変革を奈辺に求めるべきかについては誰も語ってこなかったのではないか。あるいは「情報の非対称性」というクリシェでお茶を濁し、そこから先へ議論が進むことはなかったのである。 »もっと読む・・・ »









