元旦から大晦日まで

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今日で今年も終わり。年末年始をゆっくりと休みたいものだが、今日(31日)も出勤してお仕事。遅れに遅れていたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」のニューバージョンだが、なんとか年内に公開することができた。今回のバージョンアップによって、検索対象サイトは約1万4千サイトになり、従来よりも検索結果を大幅に増やしている。闘病ユニバースに蓄積された闘病体験を、より一層、広く深く可視化できるようになったので、どんどん使っていただきたい。

今回のTOBYO事典ニューバージョンでは、将来検索ファイルサイズが大幅に増えることを想定して、Googleのような分割ファイルシステムの構築に挑戦した。大幅に公開が遅れた原因の一つはここにある。また従来バージョンで残存していた重複検索結果やゴミについてもかなり整理したが、これは今後も継続して行くことになる。だが、GoogleやYahooとは違い、あくまでも全文検索を目指しているために、重複しているように見える検索結果項目であっても別ページであることも多く、このあたりの結果表示の仕方も今後の課題になる。 続きを読む

集合知によって医療を患者参加型医療に変える

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TOBYOプロジェクトは、国内最大の闘病体験データベースに成長した。このように大量の闘病体験ドキュメントが可視化され利用可能になったのは、おそらく史上初であろう。このデータはまず闘病者に利用してもらいたい。そのためのツールとして、TOBYOはバーティカル検索エンジンを公開している。次に政策立案者、保健行政、医療機関、学会、研究機関、医療関連企業等にも活用してもらいたい。そのためにTOBYOは、これらのプレイヤーが利用しやすい形での情報提供サービスを考えている。

TOBYOプロジェクトの三つのビジネス・レイヤー」でも説明したが、これらプロフェッショナル・プレイヤーに対する情報サービスはマーケティング・レイヤーに位置づけており、闘病体験データベースに基づく「リサーチ&コミュニケーション」事業を想定している。TOBYOプロジェクトはまず「医療マーケティングのデータインフラ」という役割を果たしたいのだが、それだけでなく、一種の研究機関やシンクタンク的な役割も目指して行きたい。

いずれTOBYOプロジェクトは「ネット上にある闘病体験ドキュメント」のほとんどすべてを可視化するようになるだろうが、このように空前の規模で集まった闘病者の生の声を、医療評価、政策評価、制度設計、製品&サービス開発、医学研究などに活用することが考えられる。そのために、たとえば調査研究レポートのような定期刊行物(有料)を検討している。これは闘病者・消費者の声を特定テーマに即して収集分析し、闘病者・消費者の医療ニーズを広く社会に知らしめていくものである。 続きを読む

年末番外編: Beatles Mono Box

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今年もたくさんの音楽にお世話になった。音楽からアイデアをもらい、音楽からパワーをもらった。今年はもっぱらアナログ音源を聞いていたのだが、往年のMMカートリッジやモノラルカートリッジの音の良さに、改めて気付いたことが収穫だった。ところで、今年9月9日に「全世界同時発売」との触れ込みで発表されたBeatlesリミックスCDシリーズだが、特にMONOボックスが気になっていた。だが、仕事にかまけて年末までそのまま放置していたわけである。

Beatlesの音源は”Abbey Road”と”Let ti be”、そしてEPセットで発売された”Magical Mystery Tour”以外は、モノラル・ミックスが本来のオリジナル作品だ。英国ではその通りモノラルで発売されたが、日本と米国では無理にステレオ加工して発売した経緯がある。それゆえ今回のMONOセットが注目されたのだが、日本版は何と3万9800円。団塊世代の購買力を当てにしたのだろうが、しかしこれはどう見ても法外な値段である。 続きを読む

固有名詞で医療を可視化する

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従来、具体的な病院や医師の評価に関する情報は、自分の周囲のごく少数の限られた人からのクチコミ情報によって細々と伝えられていた。医療を選択するための十分な情報がなかったのだ。インターネットはこれを変えた。掲示板、個人サイト、ブログ、SNSなどで、闘病者は自分の医療体験を続々と公開し始めた。いつのまにか、病院や医師や治療法についての情報はネット上にあふれだしたのだが、これら情報を吟味し、医療選択のために提供するような方法は確立していなかったのだ。

TOBYOプロジェクトでは、闘病体験に限定した特化型検索機能を開発し公開している。これによって消費者・闘病者はスパムやゴミを除去した集合知から、求める医療体験情報を探すことができる。だが、この集合知に病院名、医師名、薬品名など固有名詞が十分に含まれていなければ、ユーザーは検索時に事実を特定することはできない。私たちがおよそ2万件近い闘病サイトの現状をチェックした限りでは、固有名詞の明記はまだ不十分であるとの印象である。 続きを読む

集合知からデータを切り出す

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TOBYOプロジェクトのマーケティング・レイヤーは、闘病ユニバースに蓄積された集合知(闘病体験)から、利用可能な形でデータをいかに取り出すかがテーマになる。これら集合知に「闘病記」などのフィルターをかけて見てしまうと、その利用領域は非常に限定されることになるだろう。以前からTOBYOでは物語として闘病体験を見るのではなく、固有名詞を持った事実にこだわることが重要だと考えてきた。

闘病体験ドキュメントを「作品」と見るのか、それとも「データ」と見るのか。この二つの異なる立場があるのだろう。もしも「作品」と見るならば、作品としての完成度がその闘病体験ドキュメントの価値になる。そしてその完成度をめぐり、評論や研究などの領域も生まれるだろう。これらすべてはどんな方向へ収斂されるかといえば、おそらく「文学」ということになるのではないか。そこにおけるビジネスは、作者を育成し、「作品」の出版・流通過程を編成し、いかに消費者に「物語」を消費させ、いかに「作品価値」を回収するかにかかっている。 続きを読む