2009/11

HMSが新型インフルエンザ向けiPhoneアプリをリリース

2009/11/02 月曜日 - 15:36:25 by 三宅 啓


iPhoneのAppStoreで、初の新型インフルエンザ向けアプリが発売された。これはHMS(ハーバードメディカルスクール)が開発したもので価格は$1.99。このアプリでは、次のようなコンテンツが利用できる。

  • 新型インフルエンザ基本知識の学習ビデオ
  • 新型インフルエンザから家族を守る方法
  • パンデミックに備えるビジネス
  • HMSから新型インフルエンザの最新ニュース配信

消費者教育ツールという位置づけなのだろうが、同じサービスをウェブサイトからPCベースで提供しても「無料」になるところを、スマートフォン経由でなら有料アプリとして堂々と販売できるわけだ。スマートフォンは、これまで無料だったサービスを有料化するプラットフォームになりうる。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

過去、現在、そして未来

2009/11/04 水曜日 - 19:25:32 by 三宅 啓

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少し前から、必要があってここ10年くらいの日本のネット医療サービスを概観し、あらためてその現状と可能性を検討している。結論から言ってしまえば、日本では米国のWebMDのような巨大総合医療ポータルがいまだ登場していないということだ。WebMDに代表される1.0的な医療ウェブサービスの在り方に対し、Health2.0は消費者参加型サービスを様々に生み出し、この二三年の間に米国のウェブ医療サービスは飛躍的に多様化した。そのような米国のウェブ医療サービスの進化プロセスを見ていると、日本ではいまだ「Health1.0」の段階にも到達していないのではないかとさえ思う。

日本におけるウェブ医療サービスは病院など医療機関検索サービスから出発し、そしていまだにこれが主流になっている。たとえば日本でWebMDに近い位置にあるとおもわれる「ここカラダ」だが、キャッチフレーズは「病院検索ならここカラダ:病院検索など医療の総合情報サイト」であり、まず病院検索サイトであることを自ら公言している。他のクチコミ評価や医療コンテンツなどを取り入れたサイトなども、基本的には病院検索サービスを中心に提供するものであり、このように見てくるとここ10年くらいの間に先行し、現在上位に位置するウェブ医療サービスのほとんどすべてが病院検索サイトであることがわかる。

これら日本のウェブ医療サービスの一極集中ぶりをどう見るかだが、このようなスタイルへと帰結させたものは、あるいはビジネスモデル上の制約かもしれない。端的に言って、収益源というものがきわめて限定されているからだ。そのことにここでは立ち入らないが、これらサイトのトップページを眺めて見れば、そこに或る種の共通点があることに気づくはずだ。だが問題は、ウェブ医療サービスの多様性というものがきわめて貧弱になっている点にある。 »もっと読む・・・ »

視線逆転の考察

2009/11/05 木曜日 - 17:56:29 by 三宅 啓

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ここ10年程の日本のウェブ医療サービスを眺めてみると、昨日エントリで指摘したような特定サービス(病院検索)への集中の他に、医療情報の扱い方の変化に触れないわけにはいかないだろう。10年前を振り返ってみると、とにかく「医療情報の信頼性」ということが特に問題にされていたと思う。ここから医療関連サイトの認証、レギュレーションコード、認定マーク制定などが提起されたのだが、これらはウェブ上の医療情報フローに規制の枠をはめようとするものであった。

今にして振り返ってみると、これら医療情報規制論には、一定の方向性を持つ一つの「視線」というものが前提とされていたように思える。当時新しく登場したウェブと医療の関係性をどのように考えるかを問う際に、「医療界からウェブへ向けられた視線」がいわばアプリオリに、暗黙裡に前提されていたのではなかったか。従来医療を従来どおり継続する上で、ウェブがどのように利用でき、どのように不都合であるかを医療界から発せられた視線で見ていたのではなかったか。このような方向を持つ視線の上に、伽藍的な「医療情報規制論」が成立していたと考える。これら規制論は医療情報を供給する側の論理に立脚するものであり、医療情報を利用する側の論理やニーズは無視されていたのである。 »もっと読む・・・ »

医療を闘病者が体験した事実から見る

2009/11/09 月曜日 - 17:19:27 by 三宅 啓

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秋も深まり、今年も残りわずかとなってきた。

TOBYOバーティカル検索エンジンのバージョンアップは大幅に遅れてしまったが、なんとか今週中には公開できそうだ。クロールとマージに手間取ったものの、新バージョンは前バージョンよりもかなりパワーアップしている。まず収録データ量を増やした。おそらく世界最大の闘病体験データベースになるはずだ。今後、これをどのように活用し社会的に役立てていくかが私たちの第一の課題となる。

当然ながら闘病体験は、まず闘病者のために利用されるべきだが、他方さまざまな医療関係者にとっても価値のある情報である。単純な分析からテキストマイニングまで多様な用途が見えている。匿名化したデータをワード出現度数分析やコンテクスト分析するなど、さまざまに解析するプログラムの開発も検討している。貴重な闘病体験集合から、どのように利用価値のある情報を提供できるかがポイントになる。

前回エントリで「消費者からの視線」ということを言ったが、まさにTOBYOの検索エンジンは、「医療を闘病者が体験した事実から見る」ためのツールなのである。これは今まで存在しなかった、まったく新しい医療情報ツールなのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

パーソナル医療

2009/11/10 火曜日 - 18:24:01 by 三宅 啓

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先日の朝日新聞に「痛風の原因、遺伝子の変異」との記事があった。

チームが見つけたのは、腎臓や腸管から尿酸を体外へ排出する働きをもつと考えられる「ABCG2」という遺伝子。この遺伝子の配列のうち、尿酸が排出されにくくなる変異を5か所突き止めた。
痛風患者をl含む尿酸値の高い人と正常値の人頚1千人以上の男性を対象に、変異の様子を調査。五つの変異のうち重要な変異は2か所で、患者の8割がどちらかの変異を持っていた。
変異の組み合わせによって、尿酸の排出機能が4分の1以下に減る患者が1割おり、まったく変異を持たない人よりも26倍痛風になりやすいことも分かった。

もうかれこれ20年ばかり痛風と闘ってきた当方にとって、これは驚くべき情報である。これまで痛風の原因ははっきりせず、とにかく節制と薬剤服用で発作を抑えながら、長く病気と付き合うしかなかった。それが、まさか遺伝子変異が原因だとは思いもしなかった。でもメカニズムが分かったとはいえ、まだ根治方法はないのである。これでは依然としてビールを安心してたらふく飲めないではないか。(それでも結構飲んでるが・・・・) »もっと読む・・・ »

赤ちゃんの泣き声を翻訳するiPhoneアプリ: Cry Translator

2009/11/11 水曜日 - 17:44:48 by 三宅 啓

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続々とリリースされるiPhoneの医療関係アプリ。だが、これをはたして医療関連アプリと呼ぶべきかどうか・・・いささか躊躇もあるが、「赤ちゃんの泣き声翻訳アプリ」というものが登場した。その名もズバリ「Cry Translator」。赤ちゃんがなぜ泣いているのか、なぜむずがるのか、その原因がわからない若い新米両親に、泣き声を翻訳しその原因を解明して伝えるアプリである。

原因は「空腹、眠い、困惑、ストレス、退屈」のカテゴリーに分類されており、90%の精度で泣いている原因を突きとめられるという。

「ほんまかいな?」と、思いっきり眉に唾をつけて説明を読んだが、このようなアプリが登場するということは、やはり両親の「親パワー」が劣化してきたということか。今まで普通の母親なら、赤ちゃんの泣き声を聞き分けられたはずだ。

だが、赤ちゃんの泣き声を「翻訳」できるとすれば、これは他にも応用がきく。たとえば犬の鳴き声を「翻訳」するとか、ペット用の翻訳アプリが登場してきてもよさそうだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Googleがインフルエンザワクチンのファインダーツールを公開

2009/11/12 木曜日 - 20:13:04 by 三宅 啓

Flu_Shot_Finder

GoogleはHHS(米国保健社会福祉省)と協同し、GoogleMapを使って、新型インフルエンザと季節インフルエンザのワクチンを接種できる場所を探すツール「Flu Shot Finder」を公開した。郵便番号か都市名を入力すると、周辺地図に赤と青の注射器マークがマッピングされる。赤は季節インフルエンザ、青は新型インフルエンザ、そして赤青混在は両方のインフルエンザンのワクチン接種拠点を示している。

上図はシカゴ周辺のワクチンマップだが、通常の医療機関だけでなく、MinuteClinicのようなリテールクリニックやWalGreensなど薬局量販店などもワクチン提供拠点になっている。なお、このワクチンマップはまだ全米の20州しかカバーしておらず、また各拠点のワクチン在庫情報表示も遅れがちだということだが、HHSから最新情報の提供を受けて漸次改善していくそうだ。

これは先に公開されたアウトブレークマップと共に、すぐに役立つ便利なサービスだ。これまで医療情報システムと言えば、何か重厚長大でべらぼうにお金のかかるシステムを想像しがちだったが、実際には、こんなふうに状況に機敏に対応する小さくて軽いサービスこそが必要なのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

医薬品の検索連動広告規制に対するGoogleの提案

2009/11/16 月曜日 - 19:04:11 by 三宅 啓

先週、米国FDAが医薬品ネット広告規制についての公聴会を開催した。FDAはこの春、製薬会社14社に対し、Googleなどの検索連動広告を使っての医薬品広告が、法律が定めるリスク情報表示を含んでいないと公開書簡で警告した。その後、FDAはインターネットとソーシャルメディアにおける医薬品のプロモーション活動に関する政策決定へ向けた検討を始めているが、今回の公聴会はその一環である。

この公聴会でGoogleはプレゼンテーションをおこない、FDAの意向に沿う新しい検索連動広告の標準テンプレートを提案した。Googleによれば、春以降、FDA書簡による指導によって、医薬品の検索連動広告は大幅にクリックスルーレートを落としているとのことである。

どうやらFDAは、これまで「グレーゾーン」であった医薬品の検索連動広告やFacebookなどのSNS内広告の規制に本格的に乗り出すようだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

闘病体験専門検索エンジン「TOBYO事典」の今後

2009/11/17 火曜日 - 18:52:23 by 三宅 啓

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闘病体験専門検索エンジン「TOBYO事典」だが、改良版の公開が遅れている。クロールは既に終了しているのだが、データをチェックしてみると当初目標に対して達成度がやや不十分であり、修正と今後の作業方針など検討している。TOBYOプロジェクトのミッションは「ウェブ上のすべての闘病体験を可視化し検索できるようにする」ことであるが、これを最も早く確実に実現するための方策を考えている。

現時点で想定しているのは、複数の検索エンジンをTOBYOに装備することだ。現状のTOBYO事典のような闘病ユニバース全体を見渡す検索エンジンは必要だが、他方、各疾患別に特化した検索エンジンを複数設置する必要があると考えている。たとえば「がん疾患グループ」専門の検索エンジンとか、「メンタル疾患グループ」専門の検索エンジンなどを設置し、闘病者の個別ニーズにより一層特化し、きめ細かい情報検索ができるようにしたい。闘病者の情報ニーズは、闘病一般とか医療情報一般についての情報にではなく、特定疾患の特定症状についての情報を指向している。つまりその情報ニーズは個別化し細分化しているのであり、それに対応した情報提供が求められていると思う。

TOBYOは現時点で805疾患を収録しているが、もちろんこれらすべてに特化した検索エンジンを設置することはない。おそらく、疾患をいくつかの「疾患グループ」にまとめることになるだろう。来春稼働を目指したい。

これらのことを通じて、よりクリーンでニーズにきめ細かく対応した情報検索、あるいはより実践的に闘病に役立つ情報検索を実現し、GoogleやYahooなど汎用検索エンジンとの一層の差別化を図っていきたい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ブログ衝動

2009/11/18 水曜日 - 18:56:38 by 三宅 啓

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これがこのブログの802件目のエントリとなる。いつの間にか800エントリを越えていたのだが、そういえばこのブログも来月3周年を迎えることになる。「TOBYO開発ブログ」の名の通り、このブログはTOBYOプロジェクトを開発するためにアイデアやニュースを書き留めたものである。そのうち既に実現したものもあるし、まだ実現のめどが立たないものもある。

しかし、プロジェクト開発のための覚書きと思考実験のためだけにブログを書き始めたのではなかった。その事に先立って、「書く」という行為の方へ自分を衝き動かしたものがあったはずなのだ。あるいはそれを「ブログ衝動」と呼ぶことができるかもしれない。今にして考えてみると、800エントリを書かせた「ブログ衝動」とは、ある種の「違和感」であり「苛立ち」であったと思う。そしてその違和感や苛立ちは、医療界およびその周辺で語られる言説に対するものである。 »もっと読む・・・ »