進化するPHR: 静的PHRから動的PHPへ

keasここ数年、EMR、EHR、PHRなど医療情報システムの概念定義をめぐり、混乱や議論が続いてきた。このブログでも有力な定義など紹介してきたのだが、どうもまだすっきりした整理ができていないと感じてきた。特に米国のEHR認証問題に関連して、消費者向けにEHRをPHRへ転用すべきだという議論まで出てきており、実はEHRとPHRの区分が不分明になってきている。またヨーロッパでは国営EHRをPHRと同一視するような見方が多い。わが国では「電子私書箱」のような個人レポジトリ構想が繰り返し言及され、PHRなどもこれとセットで語られることが多い。

だが一方には、これら「概念の混乱」や「概念論争」を越えて、実際に稼働し始めたHealth VaultやGoogle Healthがどんどん進化して行っている現実がある。個々ばらばらながらもこれら「PHR」進化は、混乱する概念定義論争を尻目にはるかに先行している。このような状況において、全体を一望睥睨するような視座を持つことは困難だが、ある一つの方向へ徐々に収束しているのを見てとることはできる。PHRに関して言うと、それは従来の「個人医療情報を収集し記録する」という静的レポジトリから、個人が自分の医療情報を活用する動的プラットフォームへ、という方向だと思われる。 続きを読む