2009/09

i-Japan戦略 2015

2009/09/01 火曜日 - 11:33:19 by 三宅 啓

医療情報はウェブ上に氾濫しているが、本当に自分にとって必要な情報が見つからない。依然としてこのような消費者、闘病者にとっての「現実」が存在しており、これをどう解決するかが、ウェブ医療情報サービスに問われているのである。そして皮肉なことに、最も入手が難しいのが自分の健康状態に関する医療情報である。自分に関する医療情報は医療機関のEMRやEHRに蓄積されているはずだが、その情報に消費者・闘病者が直接自由にアクセスすることはできない。「自分に関する情報」であるのに、それにアクセスすることさえできないという、きわめて理不尽な状況がある。

たしかにEMRやEHRは医療者側の業務システムであり、消費者・闘病者がアクセスすることは想定されていない。だがこれでは消費者・闘病者側が自分の健康に関心を持ち、あるいは主体的に自己の疾患と向き合うことはできない。そこでPHRが必要になってくる。

先週、日経夕刊で政府の「電子私書箱」構想の記事を目にした。ここ二-三年の間に、たびたび目にしてきた「電子私書箱」だが、記事にはPHRに近い機能が盛り込まれているように書かれていた。また昨年来、経産省が中心になって「日本版PHR」の研究会や実証実験が進められていることも承知しているが、正直のところ、これら官庁主導プロジェクトを積極的にトラッキングしようという意欲も関心も薄れるばかりだ。久しぶりに「電子私書箱」や「健康情報活用基盤構築のための標準化及び実証事業」などの動向を少し調べてみたが、「電子私書箱」については、6月30日に発表されたグランドデザイン「i-Japan 戦略2015」における「各論」という位置づけになっていることがわかった。 »もっと読む・・・ »

シフトするEHR認証基準: 技術基準から「意味ある利用」(Meaningful Use)へ

2009/09/02 水曜日 - 12:01:15 by 三宅 啓

春先から米国ではEHR認証問題で論争が巻き起こってきたのだが、その中で登場したキイワードが「意味ある利用」(Meaningful Use)である。これら一連の論争の背景には、オバマ政権の医療IT促進政策、とりわけ巨額のEHR補助金をめぐる新旧医療IT陣営の戦いがある。

従来からプロプライエタリな「クライアント/サーバ・モデル」のEHRを手掛けてきたITベンダー各社に対し、「時代遅れでコスト高、しかも相互運用性が低い」との批判が高まり、この批判はさらにこれまで独占的にEHRの技術基準を定め認証を行ってきたCCHIT(Certification Commission for Healthcare Information Technology)およびそれを支援するITベンダー業界団体(HIMSS)に対する「利益相反」批判へと拡大したのである。(「EHR認証団体に対する利益相反疑惑」

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医療情報専門のセマンティック検索エンジン登場: healthBASE

2009/09/03 木曜日 - 11:02:51 by 三宅 啓

healthBASE

セマンティック検索エンジンとは「テクストの意味を理解する検索エンジン」のことで、これまで様々な検索エンジンが登場してきたが、医療情報のみのバーティカルなセマンティック検索エンジンとしては、おそらくこのhealthBASEが初めてであろう。

「テクストの意味を理解できる」ということは、ウェブ上にある膨大な情報をその内容によって機械的に分類できるということだ。だから検索結果を、情報内容によって分類して提示することが可能となる。たとえば「胃がん」という検索ワードによってGoogleで検索してみると、情報内容とは無関係にページランクに従って検索結果は表示される。つまり薬剤情報も症状情報も治療情報も区別されず、「胃がん」についての各種情報が一緒くたに表示されてしまうのだ。これではユーザーにとって不親切である。だがhealthBASEの場合は、「胃がん」で検索してみると、「治療、原因、合併症、治療の賛否」という大分類と、さらにその下位の小分類に情報を整理して検索結果を提示してくれる。これは便利だ。 »もっと読む・・・ »

Googleが医療情報検索結果とGoogle Health所収情報を統合

2009/09/04 金曜日 - 11:59:58 by 三宅 啓

GoogleHealth_flu2

Googleは8月27日から、ユーザーが医療関連キイワードで検索した時、検索結果ページトップに、関連するGoogle Health所収情報の抜粋を表示している。(例:インフルエンザ)。この抜粋にはGoogle Health、MayoClinic、MedlinePlus、WebMDなどのリンクも合わせて表示されている。

従来から、特に医療情報検索においてGoogleの評判は芳しくなかった。信頼性の怪しい情報などノイズが大量に検索結果に表示されていたからだ。また同時に表示される検索連動広告も科学的根拠の薄弱な民間療法や健康食品等が少なくなく、ユーザーに混乱を与えているとの批判は絶えなかった。だがしかし、これは汎用検索エンジンとしての宿命であり、根本的な解決はバーティカル検索エンジンによるしかないだろう。

今回のGoogle Healthとの「統合」だが、もちろんGoogle Healthのプレゼンスを高めるということはあるだろうが、それよりも検索結果の信頼性の改善という狙いの方が強いような気がする。なおこの「統合」は米国国内だけで提供されている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

次世代ワイヤレス患者モニタリングシステム: MBANs

2009/09/07 月曜日 - 11:25:47 by 三宅 啓


米国FCC(連邦通信委員会)は、次世代のワイヤレス患者モニタリングシステム「MBANs」(Medical Body Area Network systems)の周波数帯割り当てと運用へ向けた技術とサービスの基本ルールを提議した。MBANsは当面医療施設内部での利用が想定されており、体温、脈拍、血糖値、血圧、呼吸機能などデータを、患者が直接装着する計測デバイスからワイヤレスでダイレクトに施設内ハブへ送信し、どこからでも医療者がモニタリングすることが可能になり、データをEMRに保存し医療スタッフ全員でリアルタイムに共有することができる。患者は、これまでのように接続ケーブル類に身体を拘束されることがなく、体位や移動の自由度が増す。また、計測機器類の設置場所などに患者をとどめ置く必要もなくなり、「場所の制約」から自由な医療提供が可能となり、医療品質の向上が期待できる。 »もっと読む・・・ »

TOBYOのビジネススキーム

2009/09/08 火曜日 - 12:36:19 by 三宅 啓

 shinjuku0908

夏から秋へ。まだまだ日中は暑いが、風や虫の音に秋を感じる日々だ。往く夏を惜しむ暇とてなく、TOBYOプロジェクトは前進していく。予定調和的なシナリオなどあろうはずもなく、方向感覚を頼りに少しずつ局面が動き変わる様を確かめながら、「向こう側」から唐突に開けてくる新たな道の可能性を吟味する。そんなことを飽きもせず延々繰り返しているわけだが、それがおもしろい。その過程では、こちらが想定していなかった新たな「気づき」を促してくれるような事々も、遠慮なく「こんにちは」と生起してくるし、また、当然それらへの「学び」が重要になってきている。つまり、トップページの姿など表面上は変化なく見えて、どんどんプロジェクト自身は変わっているのである。 »もっと読む・・・ »

消費者向けiPhone医療アプリケーションTop5

2009/09/09 水曜日 - 09:13:10 by 三宅 啓

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iPhoneの消費者向け医療アプリがかなり出そろってきた。9月3日の米ABC“Good Morning America” で「Top5アプリ」が取り上げられたのでご紹介しておきたい。この「Top5」を選考したのは医師でITコンサルタントも務めるSalvatore Volpe氏で、選ばれたアプリは次のようなもの。(注:ビデオは埋め込みできないので,上記“Good Morning America”のABCサイトでご覧あれ。広告ののち本編が始まる)

  • ePocrates (free)
  • Health Cloud (free)
  • iFitness ($1.99)
  • Pocket First Aid and CPR ($3.99)
  • Restaurant Nutrition (free)

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TOBYOと闘病ユニバース

2009/09/10 木曜日 - 12:41:06 by 三宅 啓

TOBYO_universeこの夏、日本初の闘病記専門検索エンジン「TOBYO事典」の改良に取り組んできたが、新たに開発したクローラをいよいよ今月中には運用する予定。5月から、1万件の闘病サイトを対象に200万ページの検索インデックスを作成しテスト運用を開始してきたが、今回の改良版では、対象1万5千サイト、検索インデックス300万ページへボリュームアップし、なおかつ検索精度の向上を目指している。

インターネット上に自然発生的に生成された、闘病サイト群のルースでオープンなネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできた。これは仮想的なコミュニティと考えてもよいだろうが、TOBYO事典をはじめ、この仮想コミュニティのインフラツールとしてTOBYOを使っていただきたい。 »もっと読む・・・ »

急速にクラウド化する医療情報システム

2009/09/11 金曜日 - 14:41:40 by 三宅 啓

cloud_computing

EHR認証問題に端を発する「EHR1.0批判」は、HHSによる「意味ある利用」による認証基準策定へと行き着いたわけだが、これら一連の動きを見て、旧来のIT企業をはじめテレコム企業からパソコンメーカーにいたるまで、雪崩をうってEMR・EHRのクラウド・コンピューティング化に着手し始めた。医療情報システムのクラウド化は、最早、誰にも止められない大きなうねりとなって医療IT業界を席巻しつつある。

9月10日のNewYorkTimesによれば、GE、IBM、Dell、VerizonなどからEHR専業各社に至るまで、EMR・EHRのクラウド化構想が最近矢継ぎ早に発表されている。従来からEHRシステムを供給してきたGEは、特に小規模医療機関のニーズが「より簡単に、より安く」へシフトしていると認識し、来年早々にクラウド版EHRをリリースするとアナウンスしている。IBMはこれまでEHRシステムを供給していなかったが、やはり小規模医療機関を対象とするクラウドEHR市場への参入を表明している。テレコム企業Verizonは医療IT企業と組み、今後数カ月のうちにクラウドEHRをリリースする。 »もっと読む・・・ »

ソーシャルメディア

2009/09/14 月曜日 - 11:19:29 by 三宅 啓

ソーシャルメディアを概観するスライドやビデオはこれまで多数発表されており、正直言ってもうお腹いっぱい状態だが、このスライドはユーモアもあり秀逸。ところで今月初めに開催された「AD:Tech TOKYO」でキーノートスピーチを務めたジョシュ・バーノフ氏は、自身のブログで「In Japan and Korea, consumers embrace social technology faster than marketers」 というエントリをポストし、「日本企業は消費者に比べソーシャルメディアへの対応が遅れている」と述べている。

たしかにそのような傾向はあるかもしれないが、日頃から闘病サイトにかかわっている当方の実感としては、企業のみならず消費者の方が、果たして「ソーシャルメディア」という概念でたとえばブログをとらえているかといえば、そうではないような気がする。新しい可能性として「ソーシャルメディア」に着目するよりも、むしろ古いリアル日常感覚の習慣を持ち込んでいるようなシーンを目にすることの方が多い。このままいくと日本の「ソーシャルメディア」は、かなり特殊で孤立した文化圏を作っていくことになるのかもしれないが、これは「闘病ユニバース」にとって良い方向ではないだろう。そのような危惧の念を覚えることもしばしばである。 »もっと読む・・・ »