立川幸治教授とイマヌエル・カント

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今月の初め名古屋へ出張し、名古屋大学医学部の立川幸治教授を訪ねた。立川先生とはこれまで何回かメールのやり取りがあり、そのユーモアあふれるメールを拝見して「おもしろい方だな。ぜひお会いしたいな」という思いがまずあり、また、かつて歴戦練磨のベンチャー経営者としての経歴もお持ちの方であり、とうとうこちらから名古屋まで押しかけて研究室までお邪魔した次第である。

研究室のソファに座るといきなり質問の矢が飛んできて、それから時間があっというまに過ぎた。TOBYOや医療ベンチャーに関して、またご専門の事業経営論など、非常に中身の濃い充実した意見交換をさせていただいたが、その中で立川先生が述べられたいくつかの言葉がいまだに頭を離れない。まず一番感銘を受けたのは次の言葉だ。

「人はリソースではない」

企業経営を考える場合、一般に「人、モノ、金」が基本的な経営資源であると言われているが、立川先生のこの言葉は、これら通俗的な「経営資源」観を再考させるものだと思う。ビジネスの現場では、日常的に「人的リソースが・・・」などと言ってしまうことが多いのだが、立ち止まってよく考えてみると、なるほど人を「モノ、金」と同列に扱うのはたしかにおかしい。しかし、だからと言って、人のリソース的側面を否定してしまえば、はたして「経営」という観点は成立するのだろうか。一方では、そのような疑問も立ちあがる。 続きを読む