2009/05

NEWS: 新バージョン「TOBYO事典」をリリース

2009/05/06 水曜日 - 18:38:04 by 三宅 啓

ゴールデンウイーク。久しぶりに休暇を取り、ブログもしばらくお休みだった。もっぱら自宅で音楽を聴いて過ごしたが、当方では、いまだにアナログディスクがメイン音源となっている。CDも聞くが、カートリッジやターンテーブルシートによって違う表情を見せるアナログ音源の面白さは捨てがたい。アナログディスク自体も中古市場で格安になっており、これもありがたい。最近、70年代プログレ系のライブ作品を何枚か入手したが、YESのライブなど30年ぶりに聞き直してみて、従来の認識を新たにさせられた。

さて昨年来、ずっと開発に取り組んできたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」だが、この週末、一層強化した新バージョンをリリースする予定。1月公開のテスト版では、検索対象となる一般サイトとブログサイトをラジオボタンで切り替える方式を採用したが、今回、これを統合し一本化する。さらにインデクシング・ページ数を増やすことに注力してきたが、今回リリースのバージョンでは約200万ページとなった。これで、約200万ページ分の闘病体験が全文検索可能となる。もちろん日本初であり、世界でも例はないはずだ。 »もっと読む・・・ »

ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)

2009/05/07 木曜日 - 20:58:50 by 三宅 啓

homo_ludens

最近、新聞を開くと「無趣味のすすめ」という本の広告をよく目にする。村上龍氏のエッセーをまとめたもので、そこそこ売れているようだ。広告には、その本から以下の文章が引用されており目を惹く。

現在まわりに溢れている「趣味」は、必ずその人が属す共同体の内部にあり、洗練されていて、極めて安全なものだ。考え方や生き方をリアルに考え直し、ときには変えてしまうというようなものではない。だから趣味の世界には自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。
つまり、それらはわたしたちの「仕事」の中にしかない。

二三年前、ある雑誌に掲載されたこの文章に接し、妙に感心したことがあった。だが、改めて広告でこの文章を今読むと、「そーかなぁ?」と素直に納得できない自分がいることに気がつく。そして同時に、歴史家ホイジンガの「ホモルーデンス」のことを思い出したのである。「ホモ・ルーデンス」とは「遊ぶ人」のことである。村上龍氏が「趣味」と対比的に取り出した「仕事する人」だけが人間のすべてではないだろう。人間は「仕事」をしてきたし、そこには村上氏が言うように「真の達成感や充実感」があっただろうが、一方で人間は「遊ぶ人」であり、無心に遊び続けてきたのだ。 »もっと読む・・・ »

TOBYO事典、本日から新バージョン公開

2009/05/08 金曜日 - 19:05:07 by 三宅 啓

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本日、TOBYO事典テスト版の新バージョンを公開した。新バージョンはインデクシングページ数を200万ページと大幅に増やし、従来分離していた一般サイトとブログサイトの検索を一本化した。また、検索結果の視認性を高めるために、検索結果タイトルをブルーで表示することにした。

依然として「テスト版」を表示しているが、これは「まだまだ改善する余地をたくさん残している」という意味合いとしてご理解いただきたい。これから使い勝手も精度も、継続して改善していかなければならない。だがようやくこれで、日本初の闘病体験バーティカル検索エンジンが本格的に稼働し始めたことになる。何よりもまず、自分の闘病体験を闘病ユニバースに公開してくれた多くの方々に、深く感謝したい。このような多くの方々の自発的な活動が、結果として「200万ページの闘病記」を作り上げたという事実は、本当に驚くべきことである。そしてこれがインターネットによって初めて可能となった、という点も特筆すべき事柄だと思われる。 »もっと読む・・・ »

病院とソーシャルメディア

2009/05/11 月曜日 - 16:13:06 by 三宅 啓

海外では、ブログ、Twitter、SNSなどソーシャルメディアを活用する医療機関が増えてきている。その動向を知る上で恰好のスライドが公開された。スライド制作者はメリーランド大学メディカルシステムのウェブ戦略ディレクターを務めるエド・ベネット氏。ソーシャルメディアを病院のコミュニケーション活動に活用するためのガイドとして役に立つ。

ところで、日本でこのような活動例をまったく耳にしないのが奇異に思えるのだが、伝統的に日本の病院は社会とのコミュニケーションを等閑視してきたと言えるだろう。海外では、たとえばメイヨークリニックなどは「医療通信社」と言えるほどの規模のコミュニケーション事業を擁しており、マスメディアや社会に向けてニュースやコンテンツ配信を積極的に行っているが、日本ではこのような事例は皆無である。「ソーシャルメディアの活用」云々を言う前に、いまだコミュニケーション活動に対する基本認識の形成段階にあるのが日本の医療の現状と言うべきかもしれない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

People Get Ready

2009/05/12 火曜日 - 20:43:43 by 三宅 啓


昨日、仕事を早く片付け、中野サンプラザへ山下達郎コンサートを聴きに行った。ファンクラブのメンバーである妻の知人が、私が古くからの達郎ファンであることを知って、昨年暮れから始まった全国ツアーの掉尾を飾るこの日のチケットを入手してくれたのである。これまでシュガーベイブ時代から、達郎氏の作品は発表のたびに全部入手してきたが、コンサートと言えば1976年のシュガーベイブ解散コンサート以来であり、なんと33年ぶりのライブ体験なのである。

ニューヨークのストリートコーナーを模した舞台オブジェをバックに登場した達郎氏。全国ツアーでしっかり歌い込んだ声は絶好調で、かつて、学生時代に聞いて驚嘆した、あの大きく張りのある声を再び生で聴くことができた。夕刻6時半に開演したコンサートは、終わったのがなんと10時半。ライブパフォーマーとしての力は衰えず、まったく時間の長さを感じさせなかった。あっと言う間にフィナーレになだれ込み、シュガーベイブ時代の「ダウンタウン」が演奏されたが、聞きながら、なんだか複雑な思いが去来するのを感じた。そう言えば33年前、荻窪ロフトの解散コンサートのラストで、この曲のイントロと同時に「これで最後だ!」と叫んだ達郎氏の声が今も耳に残っている。その同じ楽曲が33年の時間を越えて、目の前でライブ演奏される場に立ち会う自分。まるでこの33年間という時間が、まったく存在しなかったような錯覚に襲われた。 »もっと読む・・・ »

ある物理学者の闘病体験データベース構想

2009/05/13 水曜日 - 19:39:31 by 三宅 啓

ある方から教えていただいて、世界的物理学者で元東京大学宇宙線研究所長の戸塚洋二氏の闘病ブログサイト「The Fourth Three-Months」 の存在を知った。大腸から始まって肺、骨、脳と転移した自己の「がん」との闘病体験を、科学者らしく客観事実とデータを中心にまとめ上げたこの闘病記は資料価値の非常に高い記録になっている。残念ながら戸塚氏自身は昨年夏に亡くなっている

だが、この闘病記において戸塚氏は、自己の闘病体験の他に、ある一つの重大な提言をしている。それは「闘病体験データベースの構築」ということだ。そして奇しくもこのことは、まさに私たちがTOBYOで目指していることなのだ。

インターネットで「大腸がん」を検索してみると膨大なヒット数がありますし、ブログにも(私のも含めて)多くの体験談が載っています。しかし、検索に便利なように整理されていないことがネックで、上のような疑問の答えを探そうにも手に負えません。

何とかならないでしょうか。思いつくままにちょっと提案してみたいと思います。

まず、がん患者の知りたいことのほとんどは、上にあげた私の例のように、主治医には答えられないか答えたくない事項なのです。

われわれにとって本当に必要なのは、しっかりと整理され検索が体系的にできる「患者さんの体験」なのです。

当然ですが、これらの整理された体験談は例数が増えるにしたがって学術的にも貴重なデータになることは間違いありません。大学病院の先生方が細々とした科学研究費補助金をもらって個人的かつバラバラに調査を行っているようですが、全国的に体系がとれ整理されたデータでないとあまり役に立たないのです。

そのように整理された体験談があれば、検索によってその記録を見つけ、私にとって大変参考になる情報なら「自己責任」でもってそれを利用すればよいのです。

「大腸がん患者」にとって欲しいデータとは何か

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英国Dipexサイト「healthtalkonline」

2009/05/15 金曜日 - 22:11:47 by 三宅 啓

ご報告が遅れたが、5月8日付け毎日新聞「関心高まる闘病記:下 先輩患者の知恵、ネットに」にTOBYOが紹介された。実はこのブログで紹介するかどうか、少し迷った。というのは、また例によって「Dipex Japan」という団体の紹介がメインで、記事の半分強を占め、TOBYOやライフパレットは「刺身のつま」みたいな扱いでお茶を濁されていたからだ。まだ実際に何のサービスも開始していないにもかかわらず、なぜだか毎日新聞はじめマスメディアはこの団体にご執心である。

だが、以前から疑問だったのは、オックスフォード大学から始まったとされるこのDipexが、Health2.0など海外の新しい医療シーンでは、まったく話題にも上がっていない点だ。私は2005年くらいから、海外の新しい医療ITの動向をウォッチしてきたつもりだが、この「Dipex」関連のトピックスやニュースに触れたことは一度もなかったのである。だが、当方の見落としということも当然あるだろう。というわけで「Dipex」の本家本元の英国サイト「healthtalkonline.org」を調べてみた。 »もっと読む・・・ »

メイヨークリニックのソーシャルメディア戦略

2009/05/18 月曜日 - 19:01:50 by 三宅 啓

一週間前のエントリで、病院のソーシャルメディア利用ガイドを紹介した。(「病院とソーシャルメディア」) その中でも少し触れたが、今度はメイヨークリニックのソーシャルメディア戦略を概観したスライドが発表された。メイヨークリニックは米国医療機関屈指のトップブランドだが、その長期的ブランドアセット構築のために、最も先進的で、戦略的なマーケティングとコミュニケーション活動に取り組んできたことで知られる。

Web2.0に対しても医療機関としていち早く対応し、ブログ、ポッドキャスト、Twitter、YouTubeなどソーシャルメディアを積極的に活用している。以前から「医療情報配信サイト」として注目された「メディカルエッジ」の他に、最近、ソーシャルメディア向けプラットフォームとして「Sharing.mayoclinic.org」を新たに開設したようだ。このことによって、いかに低コストで効果的な社会とのコミュニケーションを生み出すことができるかなど、このスライドでは具体的な例が多くわかりやすい。とりわけ次のフレーズが印象に残った。

Don’t pitch the media
Be the media

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一万人の闘病者が書いた200万ページの闘病記

2009/05/19 火曜日 - 18:04:11 by 三宅 啓

今月8日から、日本初の闘病記に特化したバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」テスト版を公開している。今回バージョンの基本データは次のようになっている。

  • 検索対象サイト数: 10,085サイト
    ブログサイト: 8,414サイト
    一般サイト: 1,671サイト
  • 検索対象疾患: 642疾患
  • 検索対象ページ総数: 2,091,610ページ

以前から私たちは、ネット上に自然発生的に作られてきた闘病者のネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできたのだが、ここで自発的に生成され蓄積されてきた膨大な闘病体験ドキュメントを、一冊の巨大な闘病記と見なしてもよいだろう。これはおそらく「史上最大の闘病記」であるはずだが、このうち、今のところTOBYOが可視化しているのは1万サイト200万ページである。そしてまた、この「史上最大の闘病記」を次のように表現してもよいだろう。

「一万人の闘病者が書いた、200万ページの闘病記」

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「よりパーソナルな医療」へ向かう消費者ニーズ

2009/05/20 水曜日 - 20:09:10 by 三宅 啓

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雑誌「the Journal of General Internal Medicine」6月号に、PHRに関する消費者パーセプションを探る調査結果が発表された。この調査は、ハーバード大学、べス・イスラエル病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、MITなどの専門家によって、全米4ヵ所8グループのフォーカスグループインタビューとして実施された。

調査結果で明らかにされた消費者ニーズを要約すると、次のフレーズになるという。

「私は、この私のことを知っているコンピュータが欲しい」

また、医学的文献をはじめとする医療情報、あるいは今日の医療情報システムが提供している製品やサービスにおいて、最も広範囲に欠落しているのは「普通の人々(regular people)への洞察」であるとしている。さらに興味深い結果として、次の五点が指摘されている。 »もっと読む・・・ »