2009/04

闘病データ管理ツール

2009/04/01 水曜日 - 18:01:46 by 三宅 啓

TOBYO_DATA

先日のエントリで、インターネットから大量のデータを収集し、統計的に分析した上で自らの治療を選択した闘病者の例を紹介した。この例が示すように、闘病に関連するデータの収集と活用は、闘病における非常に重要な活動なのである。このほかにも闘病者は、医療費用、医療保険、各種申請、食事、薬服用など、闘病に伴う多数のデータを管理をする必要がある。日記形式の闘病記もそれらを記録するツールの一つだが、数値表現できるデータは、やはり表やグラフで管理するほうが便利だ。 »もっと読む・・・ »

経済危機による精神疾患リスク

2009/04/02 木曜日 - 21:01:39 by 三宅 啓

SAMHSA

4月1日ワシントンポストによれば、米国政府のHHS(保健社会福祉省)は、今回の未曾有の経済危機プレッシャーによる米国社会の精神疾患増大に備え、ウェブで市民へ警告と情報提供を始めた。これはHHSのSAMSHA(薬物乱用・精神衛生管理庁)が運営するサイトに設けられたコーナーで、経済危機によってもたらされるリスクの警告、ストレス管理の方法、支援リソース、自殺徴候などについて市民に注意を促すものである。HHSがこのような精神疾患増大に対する警告キャンペーンをおこなうのは過去二回あり、一回目は2001年の同時多発テロ事件直後、二回目は2005年のハリケーン「カトリーナ」直後で、今回が三回目となる。 »もっと読む・・・ »

PHR: MS「Health Vault」の利用イメージ

2009/04/03 金曜日 - 21:37:16 by 三宅 啓

MS「Health Vault」の使用イメージ

マイクロソフトのPHR「Health Vault」は、Google Healthよりも約半年早く、一昨年秋にリリースされた。その後の両者の競争状況を見ると、Health Vaultがやや優位に立っているのではないかと評されることが多い。だが、一般消費者には両者の差異は分かりづらく、「結局、大差ない似たようなシステムではないのか」と疑問を呈するブロガーまで出てきている。

独自性の明確化と差別化が求められているのだが、その意味もあってか、マイクロソフトはHealth Vaultのプロモーションビデをいくつか発表している。上のビデオは、そのうちの「Health Vault in Action」と題された一本。実際に家庭で、どのようにHealth Vaultが使われるのかをわかりやすく見せている。血糖値、血圧などの家庭用計測デバイスとHealth Vaultが連携する様子がよく分かる。PHRのデータ取り込みについては、どうしても医療機関側のEMRやEHR経由を想起しがちだが、糖尿病、高血圧症といった慢性疾患では家庭用計測デバイスが活躍する。ビデオでは、いずれのデバイスもワイヤレスでPCと交信しているが、このあたりちょっとしたことなのだが、使用感は格段に違うと思う。
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未来医療とPHR

2009/04/06 月曜日 - 19:33:14 by 三宅 啓

このブログでは、おそらく日本で最も早く海外のPHRの動向を取り上げ、その意味を考察してきたと思う。そしてこの二年ばかりの間に、HealthVault、GoogleHealth、DOSSIAなど大規模PHRが登場してきたのだが、ではこれらが、未来の医療システムに一体何を持ち込むのかということについては、まだ不透明な部分が多い。だが、ここ二年ばかりの動きを注意深く観察してみると、PHR進化の道筋に沿って前方へと視線を投じることによって、未来の医療の姿形がおぼろげに透視できるような気がする。 »もっと読む・・・ »

バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」

2009/04/07 火曜日 - 19:31:00 by 三宅 啓

Gyoen_SAKURA

今週の新宿御苑は花見客で人出がすごい。週末など、朝早くからすでに入場門周辺には行列が出来ている。今日のような天気の良い日のお昼は、御苑の芝生に寝っ転がって空を見上げたいところだが、とにかく人が多すぎて落ち着かない。

さて、昨年から検索エンジンを開発してきているが、ずいぶん予定が遅れてしまった。1月10日にブログ検索をテスト公開して以来、クローリングのカバー率の改善に取り組んでいたが、一進一退、遅々として進まず、試行錯誤の末にようやく目標とする段階に近づきつつある。当面の目標は「1万人の闘病体験の全文検索」を文字通り実現することであったが、TOBYO全体の収録サイト数が増えたこともあり、なんとか実現まであと少し。

思えばちょうど1年前、3分咲きの新宿御苑の桜を見ながら思いついたのが、「ネット上に、闘病者の自発性に基づき、自然発生的に作られる「闘病ネットワーク圏」(闘病ユニバース)」というビジョンだった。このビジョンを持つことによって、TOBYOプロジェクトの方向性は固まった。そして自前の検索エンジン開発は、もちろん弱小ベンチャーにとってかなり難易度の高い仕事であったが、とにかくこれを実現できなければ「闘病ユニバース」に蓄積された膨大な闘病体験を活用することはできないのである。その意味で、後には引けない仕事だった。 »もっと読む・・・ »

PHR:医療現場での利用イメージ

2009/04/08 水曜日 - 20:45:18 by 三宅 啓


(Microsoft Surface Demo for Patient Consultation (Interface by Infusion)

先日エントリでHealthVaultの家庭における利用イメージビデオを紹介したが、なぜかYouTubeから削除されてしまったようだ。その代わりと言っては何だが、PHRのもう一つの重要な利用シーンである医療現場における利用イメージを、やはりHealthVaultの紹介ビデオで見ておこう。

HealthVaultの医療現場での利用のために、マイクロソフトは「MS Surface」というアプリケーションを開発しているようだ。このビデオは医療現場で、この「Surface」を介して、医療者と患者がどのようにPHRの情報を利用できるかを紹介している。注目されるのはデスク上に平面設置されたディスプレイである。通常の縦置きディスプレイでは、医療者と患者の視線は平行で交わることがない。だがこのような平面設置ディスプレイなら、常に相手の視線を捉えながら、双方のコミュニケーションが可能となる。また、IDカードを画面上において読み取れるなど、操作性も良さそうだ。このSuefaceは、すでにテキサス州の医療機関”Texas Health Resources”で稼働しているとのことである。
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PatientsLikeMeがALS患者の「遺伝子検索エンジン」をリリース

2009/04/09 木曜日 - 20:11:28 by 三宅 啓

PatientsLikeMe_090409

米国で、最もユニークで、最も成功している患者SNSと言われるPatientsLikeMeだが、今月、そのフラッグシップコミュニティである難病ALS(筋萎縮側索硬化症)コミュニティの設立三周年を記念し、新たに「遺伝子検索エンジン」サービスの開始が発表された。これはALS患者が、遺伝子レベルで「自分と似た患者」を探すことができるようなサービスであるとのこと。また、同コミュニティ患者の遺伝子情報を共有することにより、ALSの原因と結果の解明をはじめ、新しいALS治療法の開発などに活かすことができるとしている。

Google資本の23andMeをはじめ、一昨年あたりから消費者向け遺伝子解析サービスが多数立ち上がってきたが、いよいよこの流れが患者SNSと合流し始めたわけだ。23andMeもコミュニティを形成しようとしているのだが、PatientsLikeMeの場合、データ共有の目的が、たとえば「ALSの新治療法開発」などと非常に明確になっているだけに、説得力あるユーザーメリットを打ち出せるのではないか。このあたり、PatientsLikeMeの巧みなターゲット戦略には学ぶべきものが多い。 »もっと読む・・・ »

闘病ユニバースの現状と将来

2009/04/13 月曜日 - 20:04:44 by 三宅 啓

TOBYO収録の闘病サイトは今月中に1万5千サイトに達する。ウェブ上の闘病ユニバースに存在する闘病サイトの数をおよそ3万程度ではないかと推測してきたが、これでそのほぼ半分近くまで可視化することができたわけである。だが、この「3万」という数はあくまでも推測値であり、可視化作業を続けている当方の感触から言えば、もう少し小さいかもしれない。

では年間にどのくらいの闘病サイトが誕生してきているのだろうか。TOBYO収録の闘病サイトを設立年ごとに見ると、2000年以降では次のような状況になっている。(09年4月13日現在)

  • 2008       (3,218)
  • 2007       (3,125)
  • 2006       (2,844)
  • 2005       (2,363)
  • 2004         ( 750)
  • 2003         ( 365)
  • 2002         ( 275)
  • 2001         ( 229)
  • 2000         ( 216)

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闘病ユニバースとレガシー医療界

2009/04/14 火曜日 - 19:54:22 by 三宅 啓

Enlightenment

かつてインターネットが登場したとき、その医療への活用がさまざまに論じられたのだが、その中からまず「啓蒙型医療情報サービス」というものが登場した。これは医療情報あるいは医学情報の専門性を過度に強調し、消費者をはじめ社会に「エビデンスに基づく正しい情報」を啓蒙するという基本発想に基づくものであった。同時に「正しさ」を証明するための「サイト認証」なども登場している。また、当時さんざん用いられた言葉に「情報の非対称性」という決まり文句もあった。これらは結局、医療情報についての専門家たる医療者だけを唯一絶対の「正しい情報源」とみなし、その他すべてを「疑わしいもの、いかがわしいもの」と排除するような硬直した情報観であった。かつて米国医師会(AMA)は患者に対し「インターネットの医療情報を見ないように」との声明を発したことがあったが、これも以上のような発想を根底に持つものである。そしてこのような医療情報観に立つ限り、医療者と消費者の関係は、極論すれば一方的な「命令-服従」関係にならざるをえない。情報の配信・受容という一連の関係が、リアルの諸関係を規定するからだ。「医師-患者」関係も例外ではない。

だが、レガシー医療界の目からすれば「疑わしさ、いかがわしさ」と見えるものが、実は硬直した「正しさ」を乗り越え、人々に自由な参加を促し、新しい知識や社会的価値を生み出す源泉なのである。つまり、AMAの発言にも明らかなように、もともとインターネットとレガシー医療界とは根本的に相容れないものだったのかもしれない。一方、闘病者たちは自発的にインターネットで自分の体験を語り始め、闘病の知識や情報をさまざまな形で共有し、集合知を分厚く蓄積し始め、闘病ユニバースが誕生する。 »もっと読む・・・ »

問題解決型コミュニティへと進化する患者SNS

2009/04/15 水曜日 - 19:08:12 by 三宅 啓

23andMe

先週、PatientsLikeMeのALS患者コミュニティ向け「遺伝子検索エンジン」とALS克服プロジェクトについて紹介したが、今度はGoogle系列の遺伝子解析サービス会社23andMeが、パーキンソン病の患者コミュニティを軸とする大規模プロジェクトを発表した。

23andMeは、パーキンソン病の代表的研究機関「The Parkinson’s Institute and Clinical Center」および俳優マイケル・J・フォックスが主催する財団法人「The Michael J. Fox Foundation」の協力を得て、全世界から1万人規模のパーキンソン患者コミュニティを立ちあげる予定。すでに2000人のパーキンソン病患者の参加が決定しているそうだが、患者コミュニティと遺伝子解析技術をベースとする難病克服プロジェクトという点で、先のPatientsLikeMeのALSプロジェクトと同様の発想に基づくと言えるだろう。 »もっと読む・・・ »