2009/01

2009年のベンチャー的「迎春」

2009/01/04 日曜日 - 16:52:37 by 三宅 啓

Geishun2009

快晴に恵まれ、穏やかなお正月の日々。
例年なら、のんびりまったり過ごしているはずだが、今年はずいぶん趣の違うお正月になった。

昨年晦日まで仕事を続け、なんと元旦の朝一番にミーティング。いくらなんでも、これはやり過ぎ。長い仕事人生をふりかえってもこんな経験は初めてだが、できればこれが最後であってほしい。

昨秋から着手してきた検索エンジンのチューニングが「あと少し」まで来てはいるが、まだ完了していない。正月もぶっ飛ばしてこれに没頭していたわけである。約二千サイトの一般サイト検索はすでに完成して公開している。一方、遅れに遅れたブログ検索のほうはまだまだ完成度は低いが、これは徐々に改善を積み上げるしかない。近々公開。温かい目で見守っていただければありがたい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

2009年の吉本隆明

2009/01/05 月曜日 - 18:47:32 by 三宅 啓

昨夜のNHK教育「吉本隆明 語る ~沈黙から芸術まで~」。夕飯時、妻から番組の存在を聞かされた時、一瞬、見ようか見まいか躊躇した。しかし放送時間になると、やはり見てしまわずにはおれなかった。なんとなく、これが大勢の聴衆を前にした吉本の最後の講演になるような気がしたからだ。

番組を見てみると、やはり「ある覚悟」を抱いて聴衆の前に立つ吉本氏の姿を確認することになった。老醜を隠しもせず、まわらぬ不自由な口を懸命に開いて押し出す声は、時には明確な言葉を結ぶことなく空中に消失し、時には不意に降ってきた想念に中断され、本人の意図に反してあちこちに砕け飛沫と散る結果となった。だが、それでもなお一脈の想念というものが、強い説得力を伴って聴き手に迫ってくるのである。だから、言いたいことは「200%」わかるのである。 »もっと読む・・・ »

2009年、この国の希望

2009/01/06 火曜日 - 19:45:32 by 三宅 啓

Exodus

世界的経済危機のせいだろうが、今年は年初から世の中は悲観論一色である。今日の日経朝刊「経済教室」では、作家の村上龍氏が「希望再興へビジョン描け」と題する長文の提言をしている。

  1. 世界的な信用収縮への危機意識にズレ
  2. 社会各層の利害対立で不信の連鎖起きる
  3. 高度経済成長で失われたものの再構築が必要

村上氏の論旨は以上三点である。なかでも第二点では、派遣社員の契約打ち切りをめぐるマスメディアの感情的な報道を批判し、「需要変動時に雇用調整を行うのは、経営者の恣意的な行動ではなく資本主義に組み込まれたシステムだから企業・経営側を悪役にすればそれで解決するというものではない」と正論を展開している。また第一点でも「ひょっとしたら今回の危機は循環的なものではなく、歴史的な大転換期なのかも知れないという仮定に立ったシミュレーションと将来的ビジョンが必要だと思うのだが、ほとんど感じられない」としている。 »もっと読む・・・ »

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とインターネット

2009/01/07 水曜日 - 20:06:28 by 三宅 啓


いまだ治療方法の確立していない難病は多い。それら難病の患者にとって、インターネットは最も手軽な最新情報ソースとして利用されてきた。昨年11月、英国バーミンガムで開催された第19回ALS/MND国際シンポジウムで、インターネットがALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者や研究者にどのように利用されてきたかを歴史的に概観するプレゼンテーションが患者SNS「PatientsLikeMe」から発表された。

世界各地で1990年代初期のパソコン通信時代から、オンラインでALSの情報交換を行おうとするチャレンジが始められてきたが、インターネットの登場によってその動きは加速され、web1.0、web1.5、web2.0とウェブが進化するのに伴い多彩なサービスが生み出されてきた。短いプレゼンテーションだが、特定の難病をめぐるインターネットの活用方法の進化を、歴史的に概観する貴重な記録となっている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ウォルマートのリテールクリニック: Walk-In Telemedicine Health Care

2009/01/08 木曜日 - 19:14:29 by 三宅 啓

昨夏、ウォルマートのリテールクリニック「Walk-In Telemedicine Health Care」がヒューストンでオープンした。先行する他のリテールクリニックと違う点は、医師が待機する拠点センターと診療所をオンラインで結び、消費者にリアルタイム遠隔医療を提供するところ。患者はオンラインで直接医師と会話することができる。

「遠隔医療が新たな展開をみせている。今や、買い物ついでにドクターに診てもらえるようになった」。CNNビデオニュースが伝えている。

以前のエントリでも触れたが、このような消費者ニーズ発想が、日本の医療に最も欠落しているものである。また、いくら消費者志向を強めようとしても、規制やギルドの抵抗などが自由な業態開発を妨げている。

「希望の国のエクソダス」(村上龍)の例のセリフを借りて言えば、次のようになるのか。

この国の医療には何でもある。でも、消費者発想だけがない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

明日10日、バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」(ブログ検索)をリリース

2009/01/09 金曜日 - 18:07:23 by 三宅 啓

TOBYO_Dic

TOBYO事典は、ウェブ上の闘病ネットワーク圏に蓄積された闘病者の知識と体験を横断的に全文検索する検索エンジンとして構想した。昨年5月末からブログ以外の一般サイト検索テスト運用を開始し、徐々に検索対象サイトを増やしてきた。12月に入って検索対象はTOBYO収録一般サイト2061となったが、これら一連のテスト運用で、一般サイトについてはほぼ満足のいく検索サービスが提供できるようになった。

だが問題はブログ検索であった。秋口から独自検索システム開発に着手してきたが、予期せぬ事態が多発し、大幅に開発計画は遅れてしまった。試行錯誤の末、ようやく明日公開できる段階まで来たが、まだまだ今後改善しなければならない余地を残している。とりあえず一般サイト検索とブログ検索をスイッチで切りかえる形で公開することになったが、これもいずれ一本化しなければならない。ユーザーは、一般サイト検索とブログ検索を区別しているわけではないからだ。またクローラーや本文抽出機能の精度の問題もあり、取得データ件数がまだ十分ではない。これも徐々に積み上げをはかり改善していくしかない。 »もっと読む・・・ »

今年もこだわっていくこと

2009/01/13 火曜日 - 21:05:35 by 三宅 啓

 先週末予告した通り、1月10日土曜日にTOBYO事典のブログ検索サービスを公開することができた。収録闘病サイト数も1万1千件を超え、これで当初から構想してきたTOBYOの基礎は一応出来上がってきたと言える。闘病ネットワーク圏がどの程度の大きさを持っているかはわからないが、TOBYOがこの闘病ネットワーク圏のディレクトリや検索エンジンとしての役割を果たすことができれば、あるいは闘病ネットワーク圏を構成するサイトや闘病者の交流促進に寄与できれば、これ以上に嬉しいことはない。 »もっと読む・・・ »

PHR市場の現状と近未来

2009/01/14 水曜日 - 20:43:41 by 三宅 啓

今後のHIT(医療情報技術)の中核的システムは一体何か?。この問に対して少し前なら米国政府のNHIN構想やRHIO、あるいはEMRやEHRを持ち出す人が多かっただろうが、マイクロソフトのHealth VaultやGoogleのGoogle Healthの登場によって、PHRこそがこれからの医療の中心的な情報システムになるとの見方が多くなってきている。またこの背景には、クラウドコンピューティングの台頭という技術トレンドも大きく影響しているだろう。

一昨日、米国ChilmarkResearch社から、PHRの現状と近未来を大胆に予測する素晴らしいプレゼンテーション・スライドが発表されたので早速紹介しておきたい。今後のHITとPHRに関心を持つ人には必見のレポートである。

  1. 今日、PHR市場の現状はどうなっているか
  2. ヘルス・クラウズ(Health Clouds)の登場
  3. 予測

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医療情報の流動性

2009/01/15 木曜日 - 19:09:19 by 三宅 啓

BoozAllenHamilton

昨年末頃から、米国のHealth2.0コミュニティ周辺で「医療情報の流動性」(Health Information Liquidity)という言葉を見かけることがしばしばあった。しかしTOBYOの仕事に没頭していたこともあり、この背景を調べることまで手が回らなかったのだが、なぜか「これは重要な言葉だぞ」という直感があった。

というのは、特に日本で医療情報利用の問題を語るとき、過度に「プライバシー&セキュリティ」というクリシェが持ち出される傾向があり、これに対し少なくない違和感を持っていたからである。むしろ日本では、医療情報のフロー的側面よりも固定的ストックの側面が強調されるあまり、EMRなどクローズドな医療情報システムしか普及しない土壌が出来上がってしまったのではないだろうか。これは「Information wants to be free」というweb2.0以来の新たな情報観に照らしてみて、明らかに逆行する時代遅れのものである。 »もっと読む・・・ »

医療情報の流動性とベンチャー

2009/01/16 金曜日 - 19:43:10 by 三宅 啓

tower

寒い日が続く。乾燥し大気が澄んでいるせいか、富士がやけにくっきりと、手が届くような近さに見える。

さて昨日のエントリ「医療情報の流動性」だが、考えてみれば当方のTOBYOにしても、患者をはじめ闘病者の体験情報の流動性を高めフローを促進するためのツールと言えなくもない。従来、闘病体験は患者とその家族や知人周辺でしか共有されていなかった。闘病体験情報は特定の個人とその周辺に貼りついて固定化されていた。それがネットワークに配信されるようになると、それら情報は流動性を獲得し、個人を越えてフローし、社会全体で共有される可能性を持った。つまり個人的な体験がネットによって社会化されたのである。別の言い方をすれば、個人的な体験がパブリックな価値を持つようになったのだ。そしてTOBYOは、この社会化された闘病情報の流動性とそのパブリック価値をさらに高め、より多くの人に活用されるためのツールをめざしている。

あるいは医療提供側の医療情報フローが現状では十分でないために、患者体験のフローを通じて医療の可視化をはかるプロジェクトであるとも言える。本来なら昨日のレポートにもあるように、「患者と医療機関の間の医療情報フローとコミュニケーションの強化」をはかるべきなのだろうが、圧倒的に医療機関側が情報コントロール権を握っている日本の現状ではむつかしい。 »もっと読む・・・ »