2008/12

バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」正式公開延期のお知らせ

2008/12/01 月曜日 - 19:33:45 by 三宅 啓

目下、闘病記だけを検索対象とする初のバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」の開発を進めているが、予定していた12月1日正式公開は12月15日へ延期することになった。その代わりと言ってはなんだが、本日から、これまでテスト運用してきた「TOBYO事典」の全文検索対象サイト数を、暫定的に2061サイトに拡張したのでお試しいただきたい。15日にリリースする正式公開版は、TOBYO収録の1万を越える全サイトを検索対象にする。

約1万件にのぼる闘病サイトのインデクシング作業は先月すでに終了しており、これは全部で約100万ページに達する。ただ検索エンジン自体の最終調整が予想以上に手間取ったために、余儀なく公開延期せざるをえなくなった。 »もっと読む・・・ »

闘病者の知識と体験をどう活かすか

2008/12/02 火曜日 - 21:28:28 by 三宅 啓

autumn08

なんだかんだと言っているうちに2008年も12月である。これからやらなければならない仕事が多すぎて、「今年はこうだった」などと回顧するにはまだ早すぎる。春先からどっと仕事が押し寄せ、気がつけば秋も深くなっていたような、そんな味もそっけもない一年であった。だが一方、ひたすら闘病サイトに多数接してきて、そこから多くのことを学ぶことができたのは幸いであった。TOBYOのコンセプトやビジョンを、どんどん豊富化し修正していくことができたのも、それら闘病サイトから膨大な暗黙知を学び取ることができたからだ。

マーケティングの世界では「市場のことは市場に聞け」という格言がある。机の上であーだこーだと何時間も議論するよりは、売り場へ足を運び、そこでどんな客がどんな様子で商品を選択しているかを実際に目で確かめるところから出発すべきだという戒めの言葉である。その意味では「闘病サイトのことは闘病サイトに聞け」ということになる。1万件以上の闘病サイトに接してみると、インターネットという空間に、まったく新しい可能性を持った闘病者の活動と成果物が次々に生み出されていることを実感できたのである。 »もっと読む・・・ »

医療レーティングサービスの現状

2008/12/03 水曜日 - 21:17:23 by 三宅 啓

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医療評価、すなわち病院が提供する医療サービスの品質評価や医師の評価について、これまでさまざまな調査手法やデータ提供方法が模索されてきた。これらは「レーティングサービス」と総称されるが、特にネットで医療評価データを提供するサービスが米国では90年代半ばから多数登場している。この分野では、CMSなど公的機関のデータを統計処理して提供するHealthGradesなどをはじめ、患者満足度調査に基づくものや、最近では2.0的手法を用いたクチコミでのレーティングサービスなども多数登場してきている。

これらレーティングサービスは、消費者が病院や医師を選択する際の比較指標として、これまで有用で価値があるとされてきた。だが、Kaiser Family Foundationが先月発表した調査結果によると、医療選択の意思決定時に、これらレーティングサービスを利用している米国消費者はわずか15%以下にとどまることがわかった。これは2004年、2006年に実施された同調査の20%台という数字より下落しており、レーティングサービス業の成長がにわかに疑問視されはじめている。この調査レポートは「ほとんどの米国消費者は、医療品質評価のレーティングサービスを見たことも使ったこともない」とまで結論付けている。 »もっと読む・・・ »

医師の役割を変えるHealth2.0

2008/12/04 木曜日 - 19:51:01 by 三宅 啓

さまざまな人々がHealth2.0の定義にチャレンジしてきた。今もなおより良い定義をめぐって議論は続けられており、今後、定義自体がいっそう豊富化され成長していくと思う。今の時点で最も納得性があり、最もシンプルな定義は何かと言えば、それは「消費者参加型医療」と言えるのではないだろうか。ではこの「消費者参加型医療」だが、これはたとえば「患者中心医療」のような、具体的な内実を欠いた単なる言いっぱなしの「美しい標語」であっては困る。内実を持った実践的な実体として提示できなければならないのだ。では一体、消費者参加型医療の具体的な中身をどのように考えればよいのだろうか。

まず、消費者参加型医療という言葉をそのまま字句通り解釈すれば、医療プロセスの中へ消費者が参加し、消費者自身が何らかの活動を担うということになる。これは従来の「すべてお任せ」型のパターナリズム(父権主義)の医療からの訣別を意味するだろう。まず今日の消費者はネットを活用し、医療情報サービスなどから自分で必要な医療情報を収集することができる。これはすべての医療情報を医療者に依存し、ただ受動的に医療情報を受け取るだけの従来の立場から、情報面において消費者が能動的に自立するということだ。次に、たとえば各種検査なども医療機関まかせではなく、消費者が直接検査ラボに発注するということが考えられる。 »もっと読む・・・ »

DailyStrengthの蹉跌と患者コミュニティの洞察

2008/12/05 金曜日 - 20:20:53 by 三宅 啓

DailyStrength0812

12月4日TechCrunchで、米国の代表的患者SNSの一つ「DailyStrength」が行き詰まり、HSW Internationaに買収されることが取り上げられていた。DailyStrengthは2006年春、Health2.0企業の中では比較的早期に立ちあげられ、500を超える患者コミュニティを擁する本格的な患者SNSサービスとして期待されていた。しかし、「DailyStrengthの月間ユニークビジター数は多い時でも70万人どまりだった」(TechCrunch)と伝えられており、集客が思うように進まなかったようである。

まだ詳細が分からないのだが、最も成功している患者SNSとされる「PatientsLikeMe」などと比較すると、どうも「500を超えるコミュニティ」というところに問題がありそうに思える。そう言えば、以前、DailyStrengthについて「患者SNSの場合、コミュニティが細分化されていくと1コミュニティあたりの参加ユーザー数は少数になり、コミュニティ自体の運動量の増加を妨げることにつながる」との指摘をどこかのブログで読んだ記憶がある。そのブログでは、DailyStrengthのコミュニティメンバーが書くエントリに対する閲読数やコメント数が、一般の汎用SNSなどと比べ桁違いに少ない点を指摘していたと思う。 »もっと読む・・・ »

「?」を「!」へ変える

2008/12/06 土曜日 - 15:48:06 by 三宅 啓

本日(12月6日)朝日新聞朝刊「be」の「てくの生活入門」欄に、「闘病記の共有サイトを知る」として、TOBYO、オンライフ、ライフパレット、シェアーズなどが紹介された。今年、ネット医療情報サービスの分野では、これら4サイトに代表される従来にない新しいHealth2.0タイプのサービスが登場した。

まだこれから立ち上げを準備しているプロジェクトもあるだろうが、これらの新しい動きが、きっと日本の医療を消費者参加型医療へと変えていくと思う。記事には「ネットで変わる?患者目線のサイト続々」とのキャプションがふられているが、この「」を「」に変え、「ネットで変わる!」と確信を持って言う時代が来ているのだ。消費者をエンパワーすることによってのみ医療は変わる。そのためにネットで消費者の知識と体験を活用していこう。そんな元気が出てくる記事である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

CBSイブニングニュースに患者SNS「PatientsLikeMe」が登場

2008/12/08 月曜日 - 16:57:18 by 三宅 啓


先週、12月4日の米国CBSイブニングニュースで患者SNSのPatientsLikeMeが紹介された。

難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかった老婦人シェイラ・エンゲダールのエピソードからはじまるこのニュースには、PatientsLikeMeの創業者であるジェームズとベンジャミンのヘイウッド兄弟が登場し、このユニークな患者SNSの概要と生い立ちを説明している。ヘイウッド兄弟にはもう一人の兄弟ステファン・ヘイウッドがいたが、29歳の時ALSに罹患した。ステファンの命を救うためにジェームズとベンジャミンは研究を開始し、そしてPatientsLikeMeをローンチしたのである。ステファンは2年前に亡くなったが、PatientsLikeMeには彼のページが全医療記録と共に残され、今でもPatientsLikeMe会員に公開され利用されているという。 »もっと読む・・・ »

12月の雨の日

2008/12/09 火曜日 - 21:06:44 by 三宅 啓
水の匂いが眩しい通りに
雨に憑かれた人が行き交う
雨上がりの街に風がふいに起こる
流れる人波をぼくは見ている
(はっぴいえんど「12月の雨の日」松本隆作詞)

窓ごしに雨の新宿の街を見ていると、ふいに遠い記憶からこの歌が思い出された。師走というあわただしい時が駆け抜ける街で、この歌が描き出すのはむしろ妙に静謐な街の佇まいである。そのきわだった対照ゆえに記憶に残っているのかもしれない。

検索エンジン開発は、いろいろな障害を一つ一つ乗り越えて進行中。なんとか15日には公開したい。当面はこれまでテスト運用してきたものと同様の検索機能になるが、いずれ、もう少し違ったかたちで検索機能を提供することも考えている。闘病ネットワーク圏の可視化の方法については、さまざまに多様な可能性があるからだ。たとえば検索対象を特定の病名闘病サイトだけに絞り可変的に選択できるようにすれば、ユーザーはより一層情報を扱いやすくなるだろう。いずれにせよ、特定ワードを探し出すだけでは不十分だと考えている。 »もっと読む・・・ »

さまざまなHealth2.0論

2008/12/10 水曜日 - 21:01:54 by 三宅 啓

BusinessWeek0812

先週、12月4日付けのBusinessWeekの記事「Health 2.0: Patients as Partners」  で、かなり大きくHealth2.0が取り上げられた。Health2.0はすでにニッチなトレンドではなく、社会的な広がりと小さくない影響力を持つムーブメントとして認知されつつあることを、この記事は物語っているだろう。記事のクオリティも高いので、Health2.0に関心を持つ者は必見である。

ところで、スコット・シュリーブがブログエントリ「Short Selling: Why the Long View is Critical for Health 2.0」 でこの記事を批判をしている。BusinessWeek記事が、SNSだけに焦点を絞ってHealth2.0を語っていることに対する、彼独特の苛立ちがこのエントリを読んでわかった。そう言えば、この「定義」関連の問題をめぐって、二年前から様々な論客とスコット・シュリーブとの間で論争があったことが思い出される。 »もっと読む・・・ »

時代は変わる: The Times They Are a-Changin’

2008/12/11 木曜日 - 20:15:55 by 三宅 啓

bob_dylan

みんな集まってあたりを見回してみろ
周囲の水が嵩を増してくるのがわかるだろう
もうすぐ骨の髄までびしょ濡れさ、わかるだろう
時間を無駄遣いしたくないなら、すぐに泳ぎ出した方がいいぜ
さもないと、石のように沈んでしまう
時代は変わりはじめたから
(「時代は変わる」ボブ・ディラン)

今日も東京は快晴。窓から富士がくっきり見える。久しぶりに広告会社時代の先輩とランチをしながら、あれこれ語り合った。なぜだか先輩は元気がないように見受けられた。思い当たることは一つしかない。広告業界の惨状である。だが、あえてその話題には触れずに、当方のTOBYO進行状況やネット関連の方へ話を向けた。 »もっと読む・・・ »