患者ニーズについての覚書

先日、TOBYO収録闘病サイト件数が1万件に達したが、この収集およびチェック過程で多数の闘病ドキュメントに触れることができた。それぞれの闘病の事実経緯のみならず、現場の雰囲気など暗黙知を蓄積できたことは、当方にとって今後の大きな財産になると思う。

それらおびただしい量の闘病体験から、たしかに「患者ニーズの実像」というものが、明確に姿を現したと思える瞬間をたびたび経験したのである。それ以来、「実践的で役に立つ情報」という言い方をしばしばこのブログでもしているのだが、このことはTOBYOの方向性を修正するきっかけにもなった。 続きを読む

リニューアルオープンしたOnlife

onlife

昨日「参加型医療の時代」というエントリをポストしたが、奇しくも同じ日に「ユーザ参加型プロジェクト」を標榜するサイト「オンライフ」がリニューアルオープンした。「みんなでつくる闘病支援サイト」とあるが、これだけではわかりにくい。要するに病名ごとにコミュニティをつくり、そのメンバーがウェブ上の闘病情報を共同して整理共有していくためのプラットフォームであるようだ。

春先にオープンした時にはTOBYOのフォロワーみたいに見えたが、その後かなりの変更を加え再登場した。「病名ごとのコミュニティ」と言うと患者SNSを想起するが、このオンライフは患者SNSとも言いにくい。患者SNSなら会員メンバーが日記を書くなどUGCが内部に蓄積されるのだが、オンライフはメールやショートメッセージ以外、UGCを内部で積極的には作らないようだ。このあたり、日本ではまだ本格的な患者コミュニティが登場していないので、できれば挑戦してもらいたかった。 続きを読む

参加型医療の時代

今日、TOBYOの収録闘病サイト数が1万件に達した。春先にこのブログで「ネット上にどのくらいの数、闘病サイトが存在するかは不明だが、1万件くらい収集すれば、およその見通しはつくのではないか」などと言ったこともある。実際に1万件にたどり着いてみて「およその見通し」がついたかと言えば必ずしもそうではないが、どんどん新規サイトが生まれており、闘病ネットワーク圏がますます膨張していることだけは確認できた。

「ネット上に自分の闘病体験を公開し、他者と共有する」という文化が自然発生的に生まれ、次から次へと伝承され、知識と体験がリレーされているのを見ていると、医療界という専門領域の外周を取り巻くような形で、闘病者の知識集合と体験集合の領域(闘病ネットワーク圏)が分厚く形成されつつあることが実感される。今のところ、医療界と闘病ネットワーク圏が直接交わる気配はないが、いずれ両者はどこかで出会い、相互に学ぶようになるはずだ。そんな確信がある。 続きを読む

闘病バーティカル検索ツール「TOBYO事典」、まもなく本格稼働

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TOBYOの中心的な機能である「TOBYO事典」。これは闘病ネットワーク圏に大量に蓄積された闘病ドキュメントを全文検索し、闘病体験、闘病集合知を隅々まで可視化するツールとして構想された。五月のTOBYOベータ版公開以来テスト運用を続けてきたが、ようやくTOBYOの全収録闘病サイトの全ページを検索対象としてフル稼働することになる。 続きを読む

Health2.0の次は?

先週、サンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスに関するエントリやニュースが上がり始めている。ざっと目を通している最中だが、このムーブメントが昨年より確実にスケールアップしていることが感じられる。ウェルネス2.0、医療ゲーム、遺伝子解析など、今年のコンファレンスではHealth2.0が新たな市場を加え、拡張している様子が報告されている。そして早くも来年ボストンで、春季コンファレンスが開かれることが発表された。 続きを読む