2008/10

クラウド・コンピューティングと医療情報システム

2008/10/01 水曜日 - 22:33:11 by 三宅 啓

Cloud_Computing

先月の中ごろに、米国でクラウド・コンピューティングの医療への活用について議論が活発に交わされていた。これにはクラウド・コンピューティング業界による医療界への売り込みという側面も見え隠れしていたのだが、一方ではEMR、EHR、PHRなど医療情報システムが乱立してきており、円滑なデータのやりとりをする上でクラウド・コンピューティングの活用が注目されて来ているという事情もある。 »もっと読む・・・ »

伽藍とバザール

2008/10/02 木曜日 - 22:50:41 by 三宅 啓

bazaar

TOBYOの闘病記1万件検索機能の準備を進めながら、一昨日触れたエスター・ダイソンの言葉に触発されつつ、「Health2.0とは?」ということを考えている。今朝も、ふと目覚めてみると、その問いが天井から舞い降りてきた。昼食後、快晴の新宿御苑遊歩道を散歩している時に、抜けるような青空から秋の陽とともにその問いは降ってくる。 »もっと読む・・・ »

ウェブ闘病記の流儀

2008/10/03 金曜日 - 21:43:30 by 三宅 啓

pencils

マスコミ関係者から取材を受けたりする時に、必ず聞かれる質問は「ウェブ闘病記の信頼性」の問題である。そしてこの質問が発せられる時、いつもこれとペアで対比的なニュアンスを持って言及されるのは「患者会」である。つまり「ウェブの個人手記など信頼できないが、リアルの団体なら信用できる」と言わんばかりなのだ。このような予断がどうしてマスコミ関係者の間に多いのかは謎だが、ウェブに対する本能的な憎悪みたいな、何か寒々しい意図の気配さえそこには感じられるのである。 »もっと読む・・・ »

書評:「次世代マーケティングプラットーフォーム」湯川鶴章、ソフトバンククリエイティブ

2008/10/06 月曜日 - 21:23:14 by 三宅 啓

読みごたえのある力作である。本書は当初「電通 vs Google」というテーマのもとに構想され、結局それは破棄され、かわって現テーマに変更されたのだがこれは正解であった。20世紀型マスメディアと広告業の今後の運命は、もはや誰が見てもはっきりしている。本書にも触れられているが、要するにそれはその衰退過程が「遅いか、早いか」というスピードと時期の問題に過ぎない。であるなら、そのことを今さらこと細かく検証するよりは、その次にどのようなサービスやシステムが登場するかを考察するほうが生産的である。 »もっと読む・・・ »

競争激化する米国医療ポータル市場

2008/10/07 火曜日 - 18:26:02 by 三宅 啓

EverydayHealth

10月3日付けNewYorkTimes で、スティーブ・ケース率いるRevolutionHealthが同じ医療ポータルサイトのEverydayHealthに吸収合併されたことが報じられた。夏以来、身売り話があちこちで囁かれていたRevolutionHealthだが、結局、医療ポータル分野における「二位、三位連合の誕生」という形に決着した。

吸収合併ということで、EverydayHealthを運営するWaterfront Media社がRevolutionHealth側のウェブサイトをはじめすべての資産を引受け、経営のリーダシップを握ることになる。合併にともなうRevolutionHealthの評価額はおよそ1億ドル。ちなみにサイト開発時の投資総額はおよそ5億ドルであった。 »もっと読む・・・ »

動き出した大規模PHR: Dossia

2008/10/08 水曜日 - 21:26:34 by 三宅 啓

Dossia_top

昨日エントリで「二位三位連合」の追い上げに直面するWebMDの状況に触れたが、そう言えばWebMDは、大規模PHRであるあのDossiaコンソーシアムと提携を結んでいることを思い出した。Dossiaについてはこれまで何回も取り上げてきたが、Intel、ATT、Wal-Martをはじめ巨大企業が共同出資して立ち上げたPHRコンソーシアムである。これまでいろいろ紆余曲折を経てきたが、いよいよ本格稼働することが先月末にアナウンスされた。 »もっと読む・・・ »

見放された闘病者についての考察

2008/10/09 木曜日 - 21:11:02 by 三宅 啓

sunset

最近、ご自分の闘病サイトをTOBYOに登録されるユーザーさんが増えてきている。また、ご自分と同病の他の闘病サイトを探し出して、登録して下さるケースもある。少しづつではあるが、TOBYOにとってはありがたいことだ。しかし、そのようにユーザーから登録された闘病サイトであっても、一応のサイトチェックを実施しなければならない。健康食品等の偽装サイトを除外するためであるが、なかには難しい判断を迫られるケースがある。

最近のケースでは、がんの闘病者がご自分のサイトを登録されたのだが、チェックのためにサイトを拝見してみて深く思い悩んでしまった。この方の場合、正規の医療機関で治療を受けたのであるが、結局、複数の医療機関から「根治のためではなく、延命のための化学療法しかない」との宣告を受けたのである。無論、本人にはがんを根治したいという意欲はあるのだが、病院からこのような宣告をされてしまうことは医療から見放されたも同然である。そこでこの方が選択したのは、様々な代替医療、民間療法のたぐいを積極的に試してみることであった。 »もっと読む・・・ »

コメントへの御礼

2008/10/13 月曜日 - 20:43:13 by 三宅 啓

Sky01

しばらくブログの方は休みにして、ここのところ連休もTOBYOの仕事に集中していた。世界恐慌を思わせる事態が進展しているが、この経済危機が「20世紀-21世紀」という時代の切断線を鋭く引いてしまうのであれば、あるいは古いシステムを本質的に淘汰するのであれば、それはそれで前向きに受け止めることができるのかもしれない。

たとえばGoogleのストリートビューをめぐって、最近ブロゴスフィアで議論があったが、本質的に新しいものは「異形」に見え、従来システムと摩擦を起こすものである。本質的に新しいものは、過去と未来の間に明確な切断線を引き、どちらの側に立つのかを無慈悲に迫るものである。今日の日経「Monday Nikkei 法務」欄でもこのストリートビュー問題を取り上げていたが、この記事が「切断線」のどちら側に立って書かれているかは明らかだ。それは「便利かのぞき見か両論」というキャプションの振り方を見ればわかる。

さて、ブログを休んでいる間に有益なコメントをいくつかいただいたので、ここでまとめてお礼申し上げたい。ありがとうございました。

まず「見放された闘病者についての考察」に対して、Kentiさんから傾聴すべきヒントをいただいた。たしかにご指摘のように、何らかの注釈をつけて闘病記を紹介するという方法があるので検討してみます。nishiさんからは代替医療の他に統合医療(Integrative Medicine)の存在を示唆していただいた。アンドルー・ワイルなどが提唱しているのは耳にしていたが、その後大学でも取り組まれていることを教えてもらった。

「書評:次世代マーケティングプラットーフォーム」に対しては、この本の著者である湯川さんご自身からコメントをいただいた。恐縮です。Health2.0にもご注目いただければ幸いです。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

全欧州の医療情報共有をめざすepSOS

2008/10/14 火曜日 - 20:47:32 by 三宅 啓

epsos

ヨーロッパ各国の医療情報システムを相互運用する広域実験プロジェクトが開始される。このプロジェクトはepSOS(European Patient Smart Open Services)と名付けられ、欧州委員会の支援のもとにEU加盟12カ国が参加を表明している。これら各国はそれぞれ自国の国民医療情報システムを持っているが、今回の実験プロジェクトは各国システムを相互に接続し、EU市民がEU域内のどこにいても、自分の医療情報を利用できる環境を提供することをめざしている。背景には、近年、国境を越えた市民の域内移動が活発化しており、これに対応する医療情報システムが必要になっている事情がある。 »もっと読む・・・ »

ブログ論壇に入れてもらった

2008/10/15 水曜日 - 21:32:04 by 三宅 啓

blog_rondan.jpg

佐々木俊尚さんが新著「ブログ論壇の誕生」の特別付録として、文藝春秋サイトで「佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト」を公開している。なんとなく見ていると、なんとこの「TOBYO開発ブログ」がリストの中に入っているではないか。光栄である。しかし、いや、驚いた。

だが、錚々たるブロガーが名を連ねるリストの中で、このブログはいかにも非力な新参者。医療とウェブをネタに、好き勝手にワーワーと、言いたい放題、書き散らかしてきただけである。たしかに米国と比べると、日本では医療とウェブを取り上げたブログは極端に少ない。Health2.0やPHRなど、新しい動きを論じるブログもあまり目にしたことがない。その意味で、少しは稀少価値があるのかもしれない。

ブログのみならず、日本の医療界自身とその周辺は無関心を決め込んで、今、世界の医療で起こっている新しい動きを知り論じる気配さえない。きわめて内向的になっているように感じられる。それが不満で書いているようなものだが、実は意外にも様々な方々から反応を頂戴している。当方元来、根がへそ曲がりときているが、ここは素直に感謝しておかなければならない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.