新医療情報サービス構築へ向けたメモランダム

まず新しい医療情報サービスは、医療を提供する側からではなく、医療の受け手側から発想し起動する必要がある。これが第一の大前提である。従来の日本のインターネットを利用した医療情報サービスの企ては、すべてここを間違えていた。次に、医学情報、医療機関情報、治療情報など、医療を取り巻く情報領域において、何をキイにすればユーザーが利用しやすいように情報の構造化が進むかを考えるべきである。つまりユーザーの目から見て、医療に関わるすべての情報領域が晴れ渡り隅々まで可視化されるために、何を中心に情報の構造化を進めるべきかについてのビジョンを作り上げなければならない。これが第二の前提となる。この点においても、従来のウェブ医療情報サービスは、いかなるビジョンも作ることはできなかった。

他にもあるだろうが、少なくとも以上の二つの前提を抜きに、新しい医療情報サービスを起動することはできないとわれわれは考えてきた。TOBYOが、闘病者が自発的に制作するウェブ闘病記に着目し、ネット上に生成されてきた闘病ネットワーク圏のツールであることを目指して来たのは、まず最初の「受け手側から発想し起動する」という前提に立ってのことであった。では二番目の前提についてはどうだろうか。TOBYOはどのような「ビジョン」を持っているのか。 続きを読む