エスター・ダイソンとHealth2.0

Esther Dyson

先日、OrganizedWisdomのCEOユニティ・ストークスがエスター・ダイソンにインタビューしているエントリがOrganizedWisdomBlogにポストされたが、これは興味深いものであった。言うまでもなくエスター・ダイソンは米国IT業界きってのビジョナリーであるが、Health2.0ムーブメントとの関係も深く、昨年のHealth2.0コンファレンスでは掉尾を飾る講演をしている。のみならず、PatientsLikeMe、23andMe、Medstory、そして最近ではOrganizedWisdomにも出資し各社の経営ボードメンバーとなっている。 続きを読む

消費者の医療参加を促進するTOBYO

日に日に涼しくなり、早くも9月が終わる。そして10月には、われわれのTOBYOの収録闘病サイト数がやっと1万件に到達する。これもひとつの通過点に過ぎないが、これでようやく、ある程度まとまった闘病情報の量的確保ができたことになる。

まずは、この1万件の闘病サイトのバーティカル全文検索サービスを10月中に公開したい。夏前から検索テスト運用をおこなってきたのだが、リソースの限界をはじめいろいろと問題があり、全面公開するまでに予想外の時間を要した。細かなことを言うときりがないが、いくつか新しい試みを採用することで局面を乗り切るめどが立った。 続きを読む

Health2.0企業の基本条件: 啓蒙から参加へ

米国のHealth2.0論争はまだ続いているが、では結局のところ、Health2.0企業が成功する条件とは何なのだろうか。改めてこんな風に問題を立ててみると、今やその結論はきわめてシンプルな形で提示できるような気がする。このブログも、この問いに答えを見つけるために延々と書いてきたわけだが、ああだこうだと書き散らかしているうちに、いつの間にか問題は収斂してきている。 続きを読む

「リアルの補完物」からの飛翔

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RevolutionHealthの失敗に端を発し、先週から米国ブロゴスフィアで始まった「Health2.0論争」だが、収拾するどころか一層燃え広がる気配である。論点は徐々にHealth2.0のビジネスモデル問題へと移動しつつあるようにも見えるが、これはいくら議論しても仕方ないかもしれない。とにかく誰が見ても納得できる成功事例が出現するまでは、どんな仮説でも主張できるからである。アイデアを持っている人間は、議論のためにそのアイデアを検証するよりは、現実にそいつを実行すべきだろう。 続きを読む

歴史は二度繰り返すのか?

先月も取り上げたが、この間ナンバーワン医療ポータルをめざしてきたRevolutionHealth社の失敗がますます明白になってきている。同社CEOスティーブ・ケース氏はどうやら本気で企業売却に乗り出しているようで、すでに従業員の大規模なレイオフが始っている。しかし、昨年春にサイトオープンして以来、わずか1年半のことであり、その「あまりにも短すぎる挑戦」をめぐって議論が起きている。

まず、ドットコムバブル時代のDrkoop社など「先例」との類似を指摘する声も多いが、やはり「打倒WebMD」をあまりにも急ぎすぎ、無理な企業買収の頻発などが結果的に足を引っ張ったとの見方が一般的であるようだ。スティーブ・ケース氏にはそれなりの目算もあったのだろうが、それにしても10年かけて首位医療ポータルの座を築いてきたWebMDに対し、ゼロから短期勝負で簡単に抜き去ることができるという考え方自体が、あまりにも医療情報サービスというものをなめすぎていたのではなかったか。 続きを読む