Happenings Ten Years Time Ago

Twitter上の疾患、薬剤、関連企業の話題を可視化するツール「Tweek」登場!

TOBYO開発ブログの10年

「こんにちは。はじめまして。
三宅啓(株式会社イニシアティブ)です。
私たち、㈱イニシアティブは、医療の分野で新しいWebサービスを開発することをめざすベンチャー企業です。この度、新しい医療情報サービス「TOBYO」を、来年2月にリリースする運びとなりました。」

2006年12月18日。以上のような出だしに始まるエントリで、この「TOBYO開発ブログ」は最初の声を上げた。それから早いもので10年が経った。

10年前を振り返ると、2005年から始まったいわゆる「Web2.0」ムーブメントのインパクトを受け、それに呼応する形で「Health2.0」というムーブメントが米国西海岸を中心に、ちょうど開始されたばかりの頃であった。毎日、Health2.0を提唱したスコット・シュリーブなどビジョナリーたちのブログを読み、続々と立ち上がってくる新規サービス群が提示する新しいビジョン、新しいアイデアに驚いたり、感心したりしていたのを思い出す。そして10年を経て、私達のTOBYOプロジェクトは少しづつ足場を固め前進し続けてきたと思う。たしかに最初の頃の疾走感は今はない。またはじめに見透したつもりになっていたビジョンも、その後、かなりの変更を強いられたといえる。しかし、「患者体験の可視化」というプロジェクトを貫くコンセプトは依然として不動である。

最近、時代とウェブの変化の中で「変わったもの、変わらないもの」を考えたりすることもある。そのことを突き詰めると、2005年前後に提唱された「Web2.0」とその周辺の諸言説の有効性を検証してみることになるのだろう。端的に言って、現在のウェブとそれを取り巻く社会は、当時の「2.0」で構想されたユートピアとはまるで違うものである。同様のことは医療分野にも言えるだろう。もはや「Health2.0」という言葉を躊躇なく使うことはむつかしい。

TOBYOプロジェクトの現在

だが、今でもなお確実に言えることが一つある。次の言葉だ。

PATIENTS ARE SPEAKING.

10年前からブログ、SNS、掲示板などで書き始められた「患者の声」は、その後も止まることを知らず増加してきている。膨大な患者生成データがこの10年間、ウェブ上に蓄積されてきたのだ。この間、「ビッグデータ」「ソーシャルリスニング」など多数のバズワードが出現しそして忘却されたが、そんなことにお構いなく、患者はウェブ上に自分の体験を自分の言葉で公開し共有してきた。この流れは今も続いているし、おそらく今後も衰えることはないだろう。

であるなら、ウェブ上に大量に蓄積され止むことのないこれら「患者の声」を誰かが確と聞き届け、必要とする人々に届けることが求められよう。私達のTOBYOプロジェクトはまさにそのために存在するのである。

さて今年1年を振り返ると、国際薬剤疫学会総会、日本薬剤疫学会総会での研究発表、論文採択をはじめ、来年度の大学薬学部教科書でTOBYO紹介が決定するなど、いくつか大きな成果があった。特にファーマコビジランスへのTOBYO活用の可能性が開かれたことは、TOBYOプロジェクトの進化にとってエポックを画すものであった。関係者の皆さんに、この場を借りて深く感謝しなければならない。

Twitterのクチコミを可視化する「Tweek」登場

さて来年だが、早い時期にTwitter上の薬剤・疾患・関連企業についての話題を可視化する新ツール「Tweek」(ツイーク)をd2プラットフォームの第五番目のツールとしてリリースする。これまでTOBYOプロジェクトはブログ中心に患者の声を収集してきたが、いよいよTwitterをはじめとするソーシャルメディア全域へと対象を拡大する。近年、d2ユーサーから「Twitterなどを対象に入れて欲しい」とのご要望が増えてきているが、ようやくこれらのニーズに対応することができる。

また、これまでd2「OPINIONS」で機械学習によるポジネガ自動分類をテスト運用してきたが、今年からは更に本格的にAIをd2に導入していく予定。ここのところ機械学習やAIは社会的ブームになっているが、実際にテスト運用してみると、まだまだ精度の問題などがあることを痛感している。しかしAIの進化は著しく、精度も改善され、しかもコストダウンが進んでいるので、どんどんd2に使っていこうと考えている。私達ベンチャーにとってAIや機械学習もパーツであるから「現在、最も良いパーツを、最も安く調達する」という発想でどんどんd2に組み込み、d2を多機能プラットフォームへ進化させていきたい。乞うご期待である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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