EHRを各種ソリューションのプラットフォームへ


厳寒のせいだろう、新宿御苑の梅はまだ硬い蕾で例年よりも開花は遅れている。

前回エントリでEHRの新たな可能性について触れたが、これに関連し、他にもさまざまな方向からのアプローチがあることがその後わかってきた。その中の一つは、EHR上に医療情報サービスの統合プラットフォームを提供しようとするもの。そして今一つは、それぞれのEHRの仕様の違いを越えて患者データをアグリゲートするものである。

上に掲出したCMのDr.Firstは前者のサービスである。もともとこの会社はEHRベンダー各社に対し電子処方箋サービスを提供してきたが、今日ではより広くEHRをプラットフォームとした各種ソリューションの提供をめざしている。たとえば薬剤コンプライアンス・プログラム、患者教育プログラム、薬剤共同購入ディスカウント・サービス、さらには患者の薬歴を集約し医療機関や検査ラボに提供するサービスなどである。

一方、医療機関によって違うEHRあるいはEMRのデータ仕様を越えて患者データを統合する技術も、Acxiom Healthcare Groupなどから出てきており、今月、ラスベガスで開催されるHIMSSで公開される予定だ。

米国に先行して日本ではEMRが普及しているわけだが、これらをネットワーク化し、その上にプラットフォーム・サービスを構築するような構想が出てきてもよいのではないか。医療情報をデジタル化して医療機関ごとに蓄積するだけではだめだ。それを大規模にフローさせてビッグデータが還流する道を作らなければ、医療をITで文字通りの患者中心医療に変えることはできない。次世代のEHRというものを考えてみると、それは医療機関ごとの個別システムの高機能化ではなく、まさに患者個人を中心に置いた既存EMRのネットワーク化とデータ共有というイメージになるのではないか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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