米国で製薬企業がFacebookの自社ページを閉鎖

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ワシントンポスト紙によると、今週月曜日から、米国のアストラゼネカ社、ジョンソン・アンド・ジョンソン社がFacebook上の自社ページを閉鎖した。これはFacebook側が製薬企業のウォールを公開するように求めたためである。

これまでFacebookは、製薬企業だけに、ウォールへのオープンなコメント書き込みのブロックを認めてきた。これはユーザーが虚偽の副作用、不正な薬物使用、製品についての不適切な言説を書き込むかもしれないと製薬業界が懸念してきたためであり、また、これらによって規制当局を刺激するのではないかとの懸念もあったためである。

しかし先週末、Facebookはこの「特典」をやめ、一部の特殊な処方薬に関係するページを除き、製薬企業のウォールを公開するよう各社に通告した。これによりアストラゼネカ社は鬱病のページを、ジョンソン・アンド・ジョンソン社はADHDのページを閉鎖した。ファイザーはじめ他の製薬企業も、ページ閉鎖まではしないものの、不正書き込みの24時間監視体制を強化するとのこと。

(“Drug companies lose protections on Facebook, some decide to close pages”,August 13,The Washington Post.)

このニュースを読んでまず驚いたのは、Facebookが製薬業界だけにウォールをブロックする「特典」を与えていたことだ。これは今回の事態が起こらなければ知り得なかったことだろう。製薬業界が置かれている厳しい規制環境はわかる。だが、ソーシャルメディアで社会とコミュニケーションをするためには、できるだけオープンな姿勢とユーザーへの信頼が求められよう。

今回の事態を受けて、米国では様々な議論が巻き起こっている。中には「製薬企業は安易にFacebookへ出て行くべきではない。製薬企業にとって最も重要な場所は自社ウェブサイトであり、ここでのコミュニティづくりなどまだやるべきことは多い」という主張も見受けられた。近年、ソーシャルメディアと言えばFacebookとTwitterの話ばかりだが、自社サイトをコミュニケーションとマーケティングのプラットフォームにすることをはじめ、他にもやることはあるはずだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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