dimensionsの基本フレーム

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dimensionsはサービスイン。先週から本サーバで稼働をはじめた。当面、ここ一ヶ月〜二ヶ月程は「お試し期間」として顧客ユーザーに使ってもらう予定。同時にデータ取得、集計、更新など、主としてデータまわりのオペレーションを徐々に円滑運用の軌道に乗せていくことになる。プロジェクト企画段階ではデータ更新を一ヶ月ごととしていたが、いろいろ勘案した結果、ウィークリー更新をめざす。最終的にはデイリー更新を実現したい。

いずれにせよ当初想定していたよりも、はるかに強力なマシンパワーが必要になってきている。検索エンジンだけならまだしも、数百万ページのデータから数千語のキーワードを抽出カウントしたうえで出現場所を特定するために、集計時間が予想以上にかかることもわかった。だがこれらの経験は、次ステップでのマイニング・ツールなどの導入にきっと活かされるものと考えている。

そもそもdimensionsは、その基本フレームとして「患者体験ドキュメントのデータ構造」というものを考えるところからスタートしている。われわれは患者体験を主観的な物語としてではなく、まず時間軸上に配列された事実の連続体として見ることを考えた。その「事実」とはまさに患者が体験した医療事実なのだが、それらはさらに「こと、もの、評価」という三要素に分解できると思いついた。「こと」は検査、診断、入院、手術、など一連の医療過程を構成するイベント、あるいは時間軸を区切り特定の段階を表示するプロセス・インディケーターであり、普通名詞そして固有名詞で表される。「もの」は医療に実際に投入される薬剤、機器、治療法、さらに医療が行われる場である医療機関などであり、それらも固有名詞や名詞に分解できる。

こういうふうに考えて医療事実を見ると、まず時間軸を区切るイベント(こと)があり、それら一連のイベントの連続に併走して、薬剤や機器など様々な「もの」の固有名詞と普通名詞がマッピングされている、そのような光景を想起できるだろう。つまり物質を構成する原子のように、医療事実を構成する「こと、もの」をさらに最小単位まで分解していくと、医療関連の固有名詞と名詞へ行き着くのである。だからこれら固有名詞と名詞を、できるだけ正確に、そしてすべての患者体験ドキュメントにわたって広く抽出することが、医療事実を把握する上での基本であり、そして最も重要なことであると私たちは考えたのだ。dimensionsでは数千語の固有名詞と名詞を抽出し、それらひとつひとつの出現リストを出力している。

そして、「こと、もの」がいわば医療の客観的な事実を構成するとすれば、今度はそれらを主観的にどう受容したかという反応として、すなわち主観的事実としての患者側の「評価」が現れる。これら「評価」の最小単位は何だろうか。おそらくそれは形容詞や副詞になると思われる。それらは言ってみれば「感情を記述する言葉」であり、これらを傾聴することによって、今まで見過ごされていたような”Unmet Needs”が発見されるのではないか。もちろん今のdimensionsでも、それらをエントリを読むことによって探索することは可能だ。だがもっと効率的に探索するためには、いずれ自然言語解析やマイニングの技術が要求されることになるだろう。私たちのdimensionsというチャレンジは、まだその緒についたに過ぎない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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