ソーシャル・リスニング・プラットフォーム

radian6

昨日エントリで、先月発表された電通のソーシャル・リスニングのフルサービス「Sora-lis」について少し触れたが、この「ソーシャル・リスニング(傾聴)」という言葉が特に印象に残った。まさにdimensionsにぴったりのフレーズだ。しかしあとで調べてみると、これは何も電通の専売特許ではなく、不覚にもすでに米国マーケティング界で広く用いられている言葉であることがわかった。

ここ数年のソーシャル・メディアの爆発的展開によって、従来のマーケティングはソーシャル・メディア・マーケティング(SMM)へ進化することが要請され、同時に従来のマーケティング・リサーチもソーシャル・メディア・リサーチ(SMR)へと進化し、その有力なリサーチ手法としてソーシャル・リスニングが注目されるようになったようだ。三年前に出た「グランズウェル」(シャーリーン・リー著、Harvard Business School Press)には次のような記述が見られる。

「マーケターや開発チームの情報源となってきた市場調査部門は脇に追いやられ、リサーチ部門であれ、マーケティング部門であれ、傾聴を担当している部署が組織の意思決定を左右するようになる」(132頁)

すでに米国では多数のリスニング・ベンダーが登場しており、それぞれ工夫を凝らした「リスニング・プラットフォーム」を提供しているようだ。その中でもConverseon社とRadian6社(Salesforce.comが買収)がリーダー的存在であるらしい(The Forrester Wave.: Listening Platforms, Q3 2010)。日本では野村総研が「TRUE TELLER」というサービスを準備中であり、先述のように電通が「Sora-lis」をリリースしている。

ここ数年、ご承知のように当方はHealth2.0の動向の把握に注力してきたが、ソーシャル・リスニング・プラットフォームの動向はほとんど注意を払ってこなかった。闇の中を手探りしながらdimensions開発を進めてきたようなものだが、これらソーシャル・リスニング・プラットフォームの動向を知っていたら、もっと効率よくシステム設計ができたかも知れない。今にして思えば、もう少し全体を俯瞰しておくべきだった。特にソーシャル・メディア・マーケティングの動向把握が手薄になっていたことは否定できない。

だがそれでも今のところ、海外でも医療分野におけるソーシャル・リスニングの話しは聞かない。おそらく私達のdimensionsとイスラエルのFirst Life Research社が、世界最初の医療分野におけるソーシャル・リスニング・プラットフォームになるのではないか。そう思うとdimensions開発に取り組んできたことが誇らしい。

私達のdimensionsは、日本初、世界初の「患者体験のソーシャル・リスニング・プラットフォーム」だったのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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