千鳥ヶ淵を歩きながら考えたこと

Na_no_Hana

陽光の千鳥ヶ淵。もうソメイヨシノは盛りを過ぎそうだったが、あちこちに咲くお堀端の菜の花が春風に揺れてきれいだった。今日、ミーティングの約束時間まで、しばらく近所の千鳥ヶ淵を歩いて考えた。

今回の震災についてさまざまな論考をひと通り読んだが、震災を契機に日本の危機をあらためて論じるものが多い。ちょうど10年くらい前に「失われた10年」ということが言われていたわけだが、それでも日本は切迫した危機感というものを持たないまま、さらにその後の10年を怠惰に過ごしてしまった。日本全体が「ゆでがえる」化するままに奈落へ転落しつつある現実を、今回の震災は我々の眼前にこれでもかと突きつけている。「覚醒せよ!」と言わんばかりに。

この20年間にわたる政治・経済・社会の危機の深化を、おそらくこの震災は一挙に早めることになるだろう。それはまた、前世紀後半の著しい成長の時代からの根源的な訣別を意味するだろう。「幸福な時代」と今日とを分かつ不連続な切断線が今回の地震によって引かれたのだ。だから以前の状態を復元するのではなく、新しい状態を創造するほかない。復元図は津波にさらわれ、日々の連続は切断されたのだから。

このような時代において、私たちは医療分野におけるイノベーションにチャレンジしている。そして、そのことの意味を考えながらdimensions開発を進めている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>