PatientsLikeMeとニールセン

Undergroundカンニング、閣僚辞任など話題になっているが・・・あまりに馬鹿馬鹿しくてまともに論じる気にならない。時間とアテンションの無駄というしかない。アテンションもまた有限な稀少資源だ。ただ、これら「見せ物小屋の大騒ぎ」を遠く見て、イノベーションに想いを馳せる、ある種の物狂おしい飢餓感に似たエネルギーが、この国でどんどん希薄になって行くことだけは実感できる。そして世界に類例のない奇妙な「成熟化」が、この国では急激に進行しているのかも知れない。だが、どのような言説もこの世情に対し上っ滑りに空転するのを見れば、黙って自分の課題を深耕するしかない。黙って、イノベーションの一つでも、二つでも、起こすしかない。このようにして、イノベーションは儚い人生の実践的課題となるのだ。

さて、やや旧聞に属するが、先日、PatientsLikeMeがニールセンと提携したというニュースを目にし、これは意外だった。ニールセンといえばメディア調査を得意とする老舗マーケティング会社だが、高度なテキストマイニング技術を持っているとのことで、PatientsLikeMeはそのマイニング技術を自社データの解析に用いるらしい。では今まで、自社UGCデータを、いったいどのように処理していたのだろう。PatientsLikeMeのことだから、独自開発のマイニング技術くらい持っているものと思っていたのだが、そうではなかったのが意外だった。だがテキストマイニングであれば、何もニールセンでなくともよいはずだ。もっと高度な技術を持っているところは少なくない。なぜ、ニールセンなのか?そう考えると、PatientsLikeMeがニールセンと組んだのはマイニング技術目当てだけではないと思える。本当のところは、ニールセンのマーケティング技術や実績が、PatientsLikeMeには魅力的だったのではないか。

従来、PatientsLikeMeという企業は稀少難病問題に正面から取り組み、いわゆる「マーケティング」から最も遠いところに位置する企業みたいなイメージがあった。それがニールセンと組むという意外な展開になってきたのだが、よく考えてみれば、これは合理的な選択の結果であると思う。稀少難病問題解決とマーケティングはイメージ的には距離があるとしても、決して相互に矛盾するものではない。稀少難病の問題解決のために、マーケティングを活用することは現実的な選択だ。むしろ、ここからどのような有意義な成果が生まれるかが期待される。

さて当方のdimensionsだが、ようやく拡張検索エンジンのスピード問題は片づいた。処理データ量が爆発的に増加しているために、いろいろ難問が生起しているが、なんとか解決できそうだ。そしていずれ、dimensionsにもマイニング技術を投入するつもりだ。先日ポストした疼痛など「主観的事実把握」のためには、どうしてもテキストマイニング技術が必要になる。PatientsLikeMeのように、当方も、すでに高度な技術を有するパートナーと組むことを検討したい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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