春よ来い

Spring2011

三月の声を聞いても寒さは厳しい。日差しはもう春めいているのに風は酷く冷たい。アンビバレントな天候だ。当方プロジェクト開発の進みようは、まるで最近の天候さながらである。

dimensions開発は昨年末に基本プログラム開発を終え、その後、年初からデータ処理とバグフィックスに取り組んできた。特に拡張検索エンジン「Xサーチ」の実行スピードアップが問題だったのだが、これもなんとか乗り越えられそうだ。TOBYOで公開している現行「TOBYO事典」とは違う検索エンジンをdimensionsでは採用したが、このことが災いしたか、期待したスピードが出ずに四苦八苦していたわけだ。

また、これまでTOBYO本体は米国、dimensions開発環境はシンガポールのクラウドを使ってきており、どうしてもレイテンシの問題があったのだが、今月から東京のクラウドが使用可能となったので、これでずいぶん助かった面もある。昨夏amazonの渡辺さんにお会いしたとき、日本でもEC2をリリースする予定とうかがったが、今月からこれが実現されて当方にとってはありがたい。

だがこれら問題も、dimensionsのような、まったくこれまで存在していないサービスシステムの開発にはつきものだと割り切っている。そして一方では、この間、同時並行で市場開発および用途開発に関連して「アンバンドリング、リサーチイノベーション、主観的事実把握」のようなビジョン・方向性・アイデアなど収穫も少なからずあったと思う。

dimensionsも長く厳しい試練の冬を経て、早く輝く陽光の春を迎えたいものだ。

ところでこのエントリが、実は1000回目の「TOBYO開発ブログ」エントリとなる。最近はエントリ・ポストの頻度が落ちてきたが、これはやはり海外のHealth2.0関連ニュース件数が徐々に減ってきていることに関係している。2007年から始まったHealth2.0ムーブメントだが、そろそろこれらの中で、一体何が終わり、何が継続し、何が始まるのかを見極める時期に来ているのかも知れない。

それにしてもあらためて思うのは、「医療という基本インフラは、やはり国民経済という枠組みを越えることはできないのだなぁ」という、ある意味で当然のことである。米国のHealth2.0成功事例が、そのまま日本でも成功事例になるとは限らない。そして本来は普遍的サービスであるはずの医療だが、国境を越えることは容易ではない。だが本当は、ウェブが易々と国境を越えたように、「グローバル医療サービス」の実現というものを未来へ向けて構想すべきなのだ。一国性とグローバル性。今日の医療もまた、アンビバレントな視座のもとに考察せざるをえない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


春よ来い” への1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>