暑中御礼

Suiren

この暑い中、当方までわざわざご来訪いただいた方々に感謝。一昨日は立教大学の三浦さん、今日は神戸大学の小川先生、ケットさん、それに電通の藤野さん。みなさんありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

当方のような弱小ベンチャーが、果たして何かお役に立つお話ができたかどうか不安だが、持ち前の強固な思い入れと過剰なファイティング・スピリッツに火がつき、止まらぬ饒舌、枯れる声も裏返り、時間度外視のインタビューとなってしまった。

まずビジネススタイルに関して、当方ビジネスとNPOなどの事業スタイルについて異口同音に質問をいただいたが、当方の現在の立ち位置ははっきりしている。ベンチャーであれNPOであれ、とにかくイノベーションを実際に起こし、新しい価値を創らなければ何の意味もない。そこを「善意」とか「美しい話」でごまかしてはならない。真に社会に役立つということは、必死になって、命がけで「イノベーションと新しい価値」を創出することだ。善意で凡庸なる仕組みをごまかすことはできない。

私たちのDFCは、まさに「イノベーションと新しい価値」を具現化するためのチャレンジである。これをやるためにこれまでの数年間があったのだし、これをやるために起業したのだ。

またTOBYOを開業する経緯も当然質問されたが、過去を振り返りつつ、いかにして当方が現在の医療システム全体に違和感を持つに至ったかを、改めて認識し直すことができた。そう考えると、逆に、このTOBYO事業ですべてが決着するわけでもないという思いがよぎる。まだまだ端緒に過ぎない。高品質で低コストな医療を実現するためには、M・E・ポーターが説くように「診療実績における競争」が正常に機能することが必要だし、そのためにはアウトカムデータが医療機関、医師ごとに公開されなければならない。

診療実績データが公開されフローするようになって、はじめて医療現場における「品質とコスト」をめぐる正常な競争が機能し、消費者側の「選択」もまた機能することができる。すでに米国ではティム・オライリーらが主導するGov2.0が、英国ではティム・バーナーズ=リーらが提唱するオープン・データ・ムーブメントが動き始めている。政府や自治体が保有する公的医療データを大胆に公開し、民間企業がそれらを利用して新サービスを生み出すような流れができつつある。この流れの中で、医療機関、医師ごとの診療実績データを消費者に分かりやすい形で提供するようなイノベーションが起きるだろう。従来、公的機関に隠匿されていた診療実績データは、新しい価値を生み出すだろう。

さらにその先に、バザール型医療サービスが登場すると思う。「伽藍とバザール」の対比についてはこのブログで何度か言及したが、伽藍的な医療のありかたをバザール型に変えていくことが最終的に必要だと思う。その際「バザール型医療サービス」とは、たとえば「医療マーケットプレイス」のようなものかもしれない。患者が自分の病態を医療マーケットプレイスに公開し、それに対し複数の医療機関が「治療計画、費用見積り、過去の診療実績、保有リソース」などからなる「医療プラン」を入札し、患者側が一次審査、二次審査と「医療プラン」を絞り込み、最終的に最も自己の病態とニーズにあうものを採用する。たとえばこんなイメージである。

暑い中、熱心な質問を頂戴して、さらに先へとビジョンを広げることができたように思える。みなさんに暑中感謝。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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