医療機関サイトの品質と医療ウェブの成熟度

ここ二三日、必要があっていくつかの病院サイトをあれこれ調べている。病院サイトのつくりだが、以前よりはだいぶ改善されたように見えるが、まだまだサイト内導線やUI、情報配置などユーザーに対する配慮は不足していると言わざるを得ない。特に初診案内のわかりにくさは致命的だ。病院で診察を受けようと初めて訪ねてきたユーザーに、もう少していねいな気配りがあってもよいのではないか。特に診療日時や受付場所など、きわめて基本的な情報が不備であるケースが多いのだ。それに対して、相変わらず院長挨拶とか病院理念などを麗々しく配置しているのを目にすると、医療機関のコミュニケーション・マインドはまだまだ低いと言わざるを得ない。

医療機関ウェブサイトの品質を上げることは、依然として大きな課題である。たとえば「ユーザーが選ぶわかりやすい病院サイト、ベスト100!」などコンテストを設けてみるのもよいかも知れない。TOBYOで病院サイト評価&投票を呼びかけてみようかとも思う。医療評価の一環として、もうすこしサイト評価が注目されても良いのではないか。

さてTOBYOプロジェクトだが、今月はまずトップページのワイド化そして検索エンジンのアップデートに取り組む。DFCはいよいよ開発に着手する。乗り越えねばならない課題は山積だが、日本の医療ウェブサービスの中でTOBYOプロジェクトが担っていく役割はかなり明確になってきている。

様々な医療ウェブ事業の可能性や困難性というものは、日本の医療ウェブの成熟度や進化スピードいかんにかかっているのではないかと最近考えることが多い。ウェブ上の医療体験記録の現状などを見ていると、どのようなサービスが実現可能でありまた不可能であるかがなんとなくわかってくる。また一口に「日本の医療ウェブの成熟度」と言っても、それは消費者・闘病者だけの問題ではない。当然そこには医療機関サイト品質の現状なども入ってくる。

TOBYOプロジェクトは消費者・闘病者の医療体験に焦点を当てている。これまで全体像が捉えにくかった闘病体験を可視化することを目指しているが、いずれは次のステージに進むときが来るのかも知れない。それはおそらく医療提供側とのコラボレーションになるのだろう。もちろんウェブ上のコラボレーションなのだが、たとえば医療機関サイトと闘病サイトという二つの拠点を繋ぐような、今までにないまったく新しいイメージがあっても良いのではないか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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