TOBYO2周年: ビジネスモデルと商品化の考察

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(「フリー」P263、クリス・アンダーソン、NHK出版、より)

TOBYOは今週の木曜日(2月18日)、アルファ版公開から2周年を迎える。2年前、収録疾患数約120件、収録闘病サイト数約2千件、検索インデックス30万ページでスタートしたが、現在は疾患数870件、闘病サイト数約2万件、検索インデックス300万ページになっている。

ところでTOBYOは、トップページタイトルの「β版」表示をまだ外していない。これは「永遠のベータ(Perpetual beta)」という2.0の考え方を踏襲する意味もあるが、一方では「まだ準備段階」であることをそのまま示してきたわけだ。そして2年が経った今、ようやく「準備」を終えることができたと考えている。ずいぶん時間はかかったが、これから事業化や商品化を本格的に始動する段階に来た。

昨年暮れから、TOBYOプロジェクトの事業化についてこのブログで断続的に構想を発表してきた。まだ詳細を発表するのは早いが、これまで明らかにしてきたように、DTC(Direct to Consumer)とDFC(Direct from Consumer)の二つの潮流を商品へ落としこんでいくことになる。その際、下表に見るように、商品化は二つの固有名詞(病名、製品名)へ向けて素材(アテンション、データ)を集約していくようなイメージになるだろう。その集約上の課題として、動線とソリューションの設計があると考えている。

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こう見ると、DFCの方はすぐに商品化が可能だ。一方、DTCは社会的な大規模コミュニケーションが必要になるだろうから、これらの分野に実績のあるビッグプレイヤーの参画を要請したいと考えている。今後、具体的なことが決まり次第お知らせしていくことになる。

さて、公開からこの2年間、さまざまな人から「TOBYOのビジネスモデル」について何度も質問を受けた。ここへ来て、ようやくそれらの質問に具体的な回答ができるようになってきたわけだが、そういえばこのブログでも何回か取り上げた話題の書「フリー」(クリス・アンダーソン、NHK出版)に興味深い対照表(このエントリ冒頭上部に掲出)があることを思い出した。

言うまでもなく、この表で「希少」とは20世紀の経済活動の前提であり、「潤沢」とはネットに代表される21世紀の経済活動の前提のことを指している。これを見て笑ったのは「利益プラン」の項目で、「希少」では「ビジネスモデル」とされているのに対し、「潤沢」では「これから考える」となっている。もちろん事業スタート時にビジネスモデルが明確で、すぐにマネタイズ出来るほうがいいに決まっているのだが、たしかに「あとで考える」というようなスタイルもあるなあ、というのが当方の今の実感である。

開始時点では「ビジネスモデル」はまだ明確でないが、「とにかく目の前にチャンスが見えているし、面白いからとりあえずやってみよう。細かいことはあとで。」というようなスタイルのほうがむしろベンチャーらしいとも思える。現に、あのYouTubeもTwitterも資金調達だけは順調だが、いまだに「ビジネスモデル」は不明で、まだ何もマネタイズできていないらしい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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