Health2.0の新コンセプト「アンプラットフォーム」をめぐって

Unplatforms

昨年、Health2.0コミュニティから提起された考え方のうちで、もっとも重要なものは「データの流動性」(Data Liquidity)と「アンプラットフォーム」(Unplatforms)だったと思う。「データの流動性」についてはこのブログでも以前取り上げたが、単にEHRやEMRなど情報システムを導入しさえすれば医療の効率化が図れるのではなく、患者-医療機関、医療機関-医療機関などにおける情報フローとコミュニケーションを焦点化する方が、医療変革にとってより重要であるとの考え方を打ち出している。これは、従来の医療IT観を根本的に覆す大胆な問題提起だと思う。

もう一方の「アンプラットフォーム」だが、これについてはまとまったドキュメントがなく、その意味をはっきり捉えることができなかった。たまたま今月から始まったウェビナー「Health2.0ショー」で、マシュー・ホルトの”The Past and Future of Health 2.0″と題するプレゼンテーションを見ていたところ、このアンプラットフォームについての解説があった。それによれば「アンプラットフォーム」は下記の四つの場面を想定しているようだ。

  • Unplatforms for applications
  • Unplatforms over channels
  • Intermingling of applications sharing Unplatforms
  • Integration of data across Unplatforms

これらを考えると、どうやらアプリケーション、チャネル、デバイスなどのプラットフォームを越えてデータがフローし、アプリケーション同士が混じり合ったり、データが統合されたりするようなイメージが浮かんでくるが、要するに次世代のHealth2.0において、データの重要性が改めて提起されているように思える。マシュー・ホルトによれば、これまで医療分野の「コンテンツ、検索、コミュニティ、ツール」がHealth2.0の基本要素であると説明されてきたが、今後はデータを軸にそれら要素が”Data Utility Layer“(上図、下段右端)に統合されるような形で進化すると説明されている。

このように見てくると、「データの流動性」も「アンプラットフォーム」も、従来の「システム、プラットフォーム優位」観に対し、データとそのフローの重要性を対置しているように思える。それはなんとなくわかるのだが、まだ曖昧な部分を相当残すようにも感じられる。

我田引水で恐縮だが、TOBYOプロジェクトではネット上に公開された闘病体験データを社会的にフローさせ、医療関連各プレイヤーの問題解決に寄与していくことを目指している。その意味では「データの流動性」も「アンプラットフォーム」も、プロジェクトの問題意識と近いと感じている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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