医療関連サイトの国際基準:HON

先週はクラゲサイト(テンプレサイト)などスパマーについて触れたが、これらが出現する背景として、医療関連サイトが準拠すべき基準が日本ではまだ確立されていないということもあるだろう。

海外ではHON、URAC、Hi-Ethicsなどの医療関連サイト基準があるが、最も普及しているのはHONコードだろう。HONコードは、医療関連サイトが守るべき原則として次の8原則をあげている。

  1. 医学的な/健康に関するアドバイスは、医学/健康に関する教育を受け、資格を持つものが提示していること。ただし、専門的な教育を受けていないものによるアドバイスであることを明確に示している場合を除く。
  2. 提示する情報は、患者と医師の関係を支援(support)するものとして設計されているものであり、これに置き換わるものではないこと。
  3. 医学/健康ウェブサイトを訪れた患者や個人の情報に関するプライバシーを、その身元も含めて、尊重すること。ウェブサイトのオーナーは、そのウェブサイトおよびミラーサイトが置かれている国の、医学/健康情報のプライバシーに関する法律が要求する基準を尊重し遵守すること。
  4. 必要であれば、そのサイトに含まれる情報は、明確な情報源が示され、可能であれば、そのデータへのHTMLリンクが設定されること。最終の更新された日付を(たとえば末尾に)明確に表示されていること。
  5. 特定の治療、商品、サービスの利点/性能に関する疑問に対して、上記の第4項に示された方法により、適切な偏りのない証拠で答えること。
  6. Webサイトの設計者は、できるかぎり明確な方法で情報を提供するように心がけ、追加情報やサポートを要求する訪問者のために作成責任者の連絡先を提示すること。Webmasterは、その管理するすべてのページに、そのメールアドレスを明確に表示すること。
  7. そのWebサイトへの財政、サービス、物的支援を行っている民間企業、非営利組織がある場合は、そのことを明確に示すこと。
  8. もし、広告がその資金源である場合は、そのことを明確に宣言すること。ウェブサイトの所有者の広告に関する方針を、そのサイトに表示すること。広告やその他のプロモーション情報は、それを見た人に、そのサイトで作成されたオリジナルの情報と容易に区別できるような方法と文脈で、提示されていること。

MayoClinicClevelandClinicWebMDPatientsLikeMeなど、海外の主要な医療関連サイトは全部このHONの認証マークを掲出している。日本語サイトの認証はまだないが、TOBYOでは上記8原則を可能な限り尊重するつもりであり、サイト「利用規約」に8原則を表示している。医療関連サイトの場合、基本的にこの8原則を頭に入れてサイト開発をおこなうのが良いだろう。

日本でも数年前から日本インターネット医療協議会(JIMA)が同様のコードを公開しているが、サイト開発者が指針とするには長大で複雑すぎるところに難がある。HONの8原則のようなシンプルでコンパクトな構成の方が、実践的でわかりやすく使いやすい。

スパムサイトやクラゲサイトを見ると、「出典の明示、責任者の明示、広告とサイトコンテンツの区別の明示」などの点で、明らかに上記コードに違反している。

当方は以前「サイト認証」という時代錯誤」というエントリまで書いたほどで、手放しの「基準」礼讃にはむしろ批判的であった。だが、スパムやクラゲの大量発生を実際に目にしてみれば、HONコードのようなシンプルなルールなら積極的に使うべきだと思うようになった。スパマーやクラゲサイト制作者に言っておくが、結局、君たちの活動は「規制」の呼び水になり、ウェブを利用するみんなの迷惑になるのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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