「患者データベース」のインプリケーション

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今日のお昼ごろ。たまたま昼食に出て、たまたま空を見上げると、新宿の空に日食が薄雲越しに見えた。それを、たまたま持っていたカメラで撮ったのが上の写真である。撮影時は午前11時50分。薄雲がかかっていたので、かえって撮影には良かった。もう少し雲が厚ければ太陽の姿は見えなかったし、逆に雲間から出ていれば、直に太陽を見ることになり撮影はできなかったと思われる。ありえないような偶然の産物である。

さて、戸塚洋二さんが残したブログ「The Fourth Three-Months」には、当方が戸塚構想と呼んでいる「患者データベース」についての考察が、断片的に、あちこちに散見される。闘病体験ドキュメントを「ファクト&データ」の側面から見直し、統計処理や相互比較しやすい形式に整理してデータベース化するという点では、たとえば次のような文言が残されている。

「このためには、どうしてもがん患者が記録を残さなくてはなりません。科学者は研究を行うときには、ログブックというノートに必ず記録をつけます。がん患者さんのほとんどは科学者ではありませんから、記録をつける習慣になれていないかもしれません。このためには、第三者機関が記録をつけやすいフォーマットを考えて、患者さんにノートを配布すればよいと思います。それを電子媒体にするのは第三者機関の仕事になります。患者さんの記録は不完全でもいいと思いますし、体調のよいときだけ記録をつけるのでもいいと思います。ちょっと恥ずかしいですが私のつけている記録を整理したページを4枚ほどお見せしたいと思います」(「大腸がん患者」にとって欲しいデータとは何か

このエントリには、続いて「経緯-1」から「経緯-4」までの記録フォーマットが例示されている。「第三者機関が記録をつけやすいフォーマットを考えて、患者さんにノートを配布すればよいと思います。それを電子媒体にするのは第三者機関の仕事になります。」という箇所だが、この「記録のフォーマット化」というところに私たちは注目しているのである。だが、ここに例示されている「戸塚式フォーム」を検討しているうちに、「なぜ、ここまで専門的な情報を患者が記録するのだろう?」という素朴な疑問が立ち上がってくる。これらフォームをつき詰めていくと、医療者側の記録に行きつくはずであり、医療者側がEMRなどに記録してしまえば「データ記録」という問題自体は終わるはずだ。それなのになぜ患者側の記録なのか?。

だが、一貫して戸塚洋二氏は患者が記録する「患者データベース」にこだわったのである。ここが問題なのだ。では、「患者データベース」に込められた戸塚氏のインプリケーションとは何なのか?。どうしてもそこを考察せざるをえないのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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