Health2.0企業の針路

shinjuku_0907

昨日エントリで取り上げたが、同じ目標を持ち活動していた仲間が減るのはやはり寂しい。だが、それでもとにかく前進しなければならないのだ。闘病者の自発的活動によって形成された闘病ユニバースに基づいて、新しい医療サービスを生み出し持続させるために、さまざまなプレイヤーが参画できるようなビジネススキームを創り出していかなければならない。

TOBYO自体もこれら多様なプレイヤーの活動プラットフォームとして機能すべく、柔軟に対応できなければならない。TOBYOは、まず闘病ユニバースの情報共有インフラであることを目指しているが、そのことにとどまらず、さらに広く社会的な闘病体験共有インフラとしても機能することを目指していきたい。闘病ユニバースで生成された闘病体験情報は、闘病者同士で活用されるだけでなく、医療界、産業界、医療行政などにおいても価値を持つ情報である。つまり闘病体験情報を闘病ユニバース内部だけではなく、社会的に還流させることによって、闘病者が体験した具体事実が、製品開発、サービス開発、医療業務改善、医療教育、研究などに活かされる道をつくるのだ。このような闘病体験の「情報流」を創り出すことが、Health2.0企業にとってのマネタイズの前提である。

そのことはまた、闘病者自身が医療関連の製品開発やサービス開発などに、直接参加する道を開くだろう。たとえば、すでに米国では糖尿病患者のブロゴスフィアが、インスリンポンプや糖尿病グッズのアイデアコンテストを主宰し、優秀アイデアを企業が採用し、実際に製品化することも始まっている。これからの患者は自らの体験に基づいて、より良く、より便利な製品やサービスを、自分たちの発案したアイデアで実現していくことが可能になるのだ。Health2.0企業は、これら闘病者参加の可能性を高め、さらにそれを具体的な成果物に変えることによって、経済的基盤をつくっていくことになるだろう。

従来、狭い人的交友関係の中で「クチコミ」として細々と流通していた闘病情報を、可視化し、アクセス可能にし、そして社会的に還流させることによって、新しいビジネスチャンスが生まれる。だが、これを実現するためには、多様なプレイヤーの参画と、柔軟なコラボレーションの発想が必要になるはずだ。新しいフロンティアは、われわれの眼前にある。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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