増加するビデオ闘病記

GuillainBarre

最近、ビデオコンテンツを置く闘病サイトが増えてきている。たとえばギラン・バレー症候群の闘病サイト「ギランとバレー Case of Garuda 10」では、「リハビリ報告」というタイトルでリハビリの詳細な様子を、一回に付き数本のビデオで紹介している。たしかにリハビリメニューなどの内容を説明するには、文章よりも映像の方が手っとり早い。そのためか、この闘病サイトではビデオがメインであり、文章はそれを補うものという位置づけになっている。また、リハビリ時の身体運動を映像記録することによって、機能回復の程度を視覚的に確認することができる。さらに、さまざまなリハビリメニューをこなしたという達成感を、ビデオから得ることもできるのだろう。リハビリ記録にはビデオが向いていることを、この闘病者は発見したのである。

この他にも、闘病サイトにビデオコンテンツを利用するケースは増加してきている。この理由の一つには、ブログサービス提供者が、ビデオコンテンツを簡単にポストできるような機能を提供し始めたこともあるだろう。またYouTubeなどで、ビデオをネットにアップすることが日常的に行われるようになったことも大きい。

以前にも紹介したが、闘病体験のビデオをアップすること自体は、10年以上前から始まっている。なかには、自分の開腹手術ビデオをサイトに公開している人もいるくらいである。だが、これから本格的に闘病体験のビデオ化ということが始まるような気がする。もちろん文章で体験ドキュメントを綴ることはなくなりはしないだろうが、この「リハビリ報告」の例のように、映像で示した方が早いようなケースでは、どんどんビデオが使われるのではないか。

ネット上には既に3万を超える闘病サイトが存在し、夥しいページ数の闘病体験ドキュメントが蓄積されているのだが、これに加えてこれからは、膨大な闘病体験の映像ドキュメントが蓄積されていくだろう。そうであれば、いずれこれら闘病体験映像をアグリゲートし、分類整理し、利用しやすい形で一般に供するような新しいサービスが必要になる。かつて「書籍」として、つまりパッケージメディアとして流通を始めた闘病記は、やがてウェブ上の闘病サイトへと進化し、誰もが簡単に膨大な闘病情報を共有することが可能となった。同様に、闘病体験映像も闘病者たち自身の手で、自発的に膨大な情報がアップされて行くと思われる。念のために付記すれば、それらの映像は、決して「語りの迫真性」などという「専門家の必要」によってではなく、上記のギラン・バレー症候群闘病者のように、単に自分の闘病に最もフィットする表現形式として「チョイス」されるはずなのだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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