DOSSIAコンソーシアムの動向

DOSSIA

ウォルマート、インテル、AT&Tなど巨大企業が参加するPHRコンソーシアムであるDOSSIAだが、先週、CTO(最高技術責任者)であるデイブ・ハモンド氏は、DOSSIAが今年中に稼働することを発表した。一昨年末の電撃的な発表と、その巨大企業からなる参加メンバーによって、DOSSIAはPHRの先端を行くプロジェクトとみなされてはいたのだが、開発を担当するベンチャー企業との紛争により当初計画は大幅に遅滞してしまった。

その後、開発主力部隊を全面的に変更し、ハーバード・メディカル・スクール系グループが開発していたオープンソースPHRである「Indivo」の採用に踏み切り、なんとか立て直しを図ってきた。だがマイクロソフトのHealthVaultやGoogleHealthなど、後発プロジェクトの後塵を拝する立場に立たされていることは否定できない。この三つのプロジェクトに共通するのは、三つとも非医療系プレイヤーが主体になっているところだろう。それゆえ医療機関の巻き込みと、数的優位をめぐる競争は熾烈を極めるものになる

すでにHealthVault陣営はMayoClinic、GoogleHealth陣営はClevelandClinicと、それぞれ米国医療界きってのトップ・ブランドの参加を得ており、DOSSIAが出遅れていることは否めない。DOSSIA陣営では医療界の参加を促すための戦略を練っているが、その第一弾として、APIの公開を打ち出している。これは、各医療機関のEHRから、簡単にDOSSIA側へ個人医療データを入力する便宜を図るものである。

また、DOSSIAユーザーに対し、各医療機関の費用とアウトカムを比較できる機能を提供することも発表している。これは、DOSSIA参加企業従業員の医療関連データを匿名化した上で、統計的な分析を加えて提供することになるようだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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