ウェブと日本の医療


Twitterを三分以内で説明するビデオが、おなじみのコモンクラフトから公開された。そのわかりやすい説明には、いつもながら舌を巻く。これを見ていて、ちょうど先日ポストした「Twitterで禁煙」というエントリを思い出した。このシンプルで軽快なコミュニケーション・ツールには、まだまだ医療でも使えるサービス領域があるように思う。

Web2.0が喧伝されて早三年以上になるが、では日本の医療分野にどれだけその成果が取り入れられているかと考えてみると、驚くほど少ない。一番多く利用されているのは闘病ブログや医師ブログであり、医師SNSなども登場しているが、他に何かあるかと見まわしてみても急に思いつくものがないありさまだ。医療専門のニュース・アグリゲーターとか、医療専門のSBMとか、すぐにでも出来そうなものだが、何もないのが現状だ。

日本ではどこの病院サイトも、いまだにWeb1.0の体裁に終始しており、大学、研究機関、図書館、生保、製薬メーカーなどを見ても似たようなものである。そんなにたいそうに考えずに、低予算で短期日で、しかも今までにないサービスを開発することができるのに、どうして誰もやらないのだろうか?。また、かつて「eヘルス」とか「インターネットが日本の医療を変える」とか、勇ましいことを言っていた人たちは、いったいどこへ行ってしまったのか?。彼らには、Web2.0の「時代の風」は届いていないのか?。

このTwitterだが、たとえば入院患者と外の家族や友人を、リアルタイムで結ぶような利用シーンが想起できる。他にも応用領域はあるだろう。だが、そんなことは闘病者ユーザーの方が先行して、自分たち向けの利用方法を実践してしまうのかもしれない。

そう言えば、今日の闘病記ブログの隆盛を見れば、まずユーザーの方が先行してブログのような2.0ツールをどんどん活用し始めていることが分かる。日本では病院、大学、学会、NPOなど、まるで医療関係者ほど「1.0」時代で進化をストップさせてしまったかのようだ。これはいったい、何を語るのであろうか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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