祝600エントリ!祝ブログ二周年!

Another_World

このブログも今週(12月18日)で二周年を迎え、このエントリが600本目となる。特にこれという感慨もない。国内には新しい医療インターネット情報サービスについての情報が少ないので、海外ブログを大量に読み、あれこれ考え、自分のメモとして書き続けてきただけである。このように書き散らかしてきた雑文が、もし少しでも誰かの参考にしていただけるとしたら、少しは喜んでもよいのだろう。しかし、そのあたりは漠として掴みがたい。

日本の医学界や医療界というのは、つくづく変わった業界だと思う。まず他分野の研究領域を、なぜか自分たちの領分へと囲い込むのに熱心である。たとえば「医療統計学、医療経済学、医療社会学、医療マーケティング」など、本来はただの統計学や経済学を応用するだけで済むはずだが、医療内部の独立したサブ領域として囲い込まれている。その最たるものが「医療情報科学」である。そしてこれらの医療に内属するサブカテゴリーに、それぞれ専門家や研究者が存在するのであるが、これも奇妙な光景である。これらの事態を好意的に「学際的である」と解釈することも、何かそぐわない気がする。あくまでも「囲い込み」である。つまり、まるで他の学問分野から隔絶した「医療」という独立国家があるかのようである。

このような「独立性」は「独特のカルチャー」を生むはずだ。医療が持つこの「独特のカルチャー」に対しては、それに同化していくか、それとも外部者として一線を引くか、おおまかに見て二つの態度があり得るだろう。このブログの軸足がどちら側に置かれているかは、改めて説明するまでもない。また、日本の医療を所与の前提として医療を論じることからも、このブログは距離を置こうとしてきた。現実には、この世界のどこにも「理想的な医療」はまだ実現されていないのだから、出来る限り世界のさまざまな医療のサービスや制度を考察することで、日本医療を相対化することをめざしてきたつもりである。そして、国内で官庁や医療界が提示してきた施策や制度よりも、実はもっと多様な選択肢が世界には存在することも指摘してきたつもりだ。

医療には二つの世界がある。ひとつは医学によって秩序だてられた専門的な知識とサービスの世界であり、いまひとつは患者が闘病生活の中で獲得する知識(形式知および暗黙知)と体験の世界である。これまでは前者だけが「医療世界」とみなされ、もう一つの世界は不可視の影の領域に追いやられていた。前者だけが圧倒的な権力と権威を持つ現実世界のように見えていたのだが、実はそれは世界の半分に過ぎなかったのである。今や、「影の世界」を可視化し、そこに蓄積された膨大な情報資源を活用することが必要なのだ。そしてインターネットの普及浸透によって、ようやく本格的にそれに着手できる時代になった。今こそ「患者の叡智」を活かす時なのだ。

時代と並走しながら、また同時にTOBYO開発を実践しながら、このブログを書き続けることができたのは、本当に幸運であり、充実感のある日々を過ごすことができた。だが、TOBYO開発は当初計画より大幅に遅れてしまった。本日公開する予定だったバーティカル検索エンジンも、またまた延期。とにかく早く公開したい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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