優先するものは何か

一昨日、ある新聞社の求めに応じて取材に協力し、TOBYOの資料などを送った。だがメールをよく読みなおすと、予定されている記事は「患者SNSの紹介」とある。もちろんTOBYOは患者SNSではない。担当記者と話してみると、なんとDIPEXを患者SNSと勘違いしていたので驚いた。

この件についていろいろな想念が頭をよぎったが、本格的な患者SNSがまだ日本に登場していないので、具体的なイメージがつかみにくいということか。世界中で患者SNSは立ち上げられているが、日本ではまだこれから登場するのを待っている段階だ。

このブログではHealth2.0など世界の新しい医療情報サービスの動向を伝えているが、これらはまだ日本ではほとんど知られていないという現実を、この患者SNSの一件で認識させられた。先日の闘病記研究会のケースでも感じたのだが、たとえば闘病記に着目するという点では同じであっても、研究会の人たちと当方の間には大きな認識の懸隔がある。その懸隔は、おそらくHealth2.0など新しいムーブメントを積極的に評価し参加して行こうとするのか、それともそれら新しい現実を知らずに済ませようとするのかをめぐる、架橋しがたい懸隔なのだ。

だが、Health2.0の啓蒙家を気取るつもりもなく、当方のやるべきことは実際にTOBYOを動かすことである。実体を作ってしまうことが優先するのだ。実体が形を結び、ユーザーに実践的に役立つこと。これによってHealth2.0が姿を現すのだ。今、懸隔を無理に架橋する徒労を引き受ける余裕はない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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