リニューアルオープンしたOnlife

onlife

昨日「参加型医療の時代」というエントリをポストしたが、奇しくも同じ日に「ユーザ参加型プロジェクト」を標榜するサイト「オンライフ」がリニューアルオープンした。「みんなでつくる闘病支援サイト」とあるが、これだけではわかりにくい。要するに病名ごとにコミュニティをつくり、そのメンバーがウェブ上の闘病情報を共同して整理共有していくためのプラットフォームであるようだ。

春先にオープンした時にはTOBYOのフォロワーみたいに見えたが、その後かなりの変更を加え再登場した。「病名ごとのコミュニティ」と言うと患者SNSを想起するが、このオンライフは患者SNSとも言いにくい。患者SNSなら会員メンバーが日記を書くなどUGCが内部に蓄積されるのだが、オンライフはメールやショートメッセージ以外、UGCを内部で積極的には作らないようだ。このあたり、日本ではまだ本格的な患者コミュニティが登場していないので、できれば挑戦してもらいたかった。

日本で本格的な患者SNSを構築する場合、まずmixiなど巨大SNSとの競合が問題となるのかもしれない。現にmixi内部の病名別コミュニティは、かなり数がそろってきているようだ。今日の闘病者は、自分の体験をmixiのようなゲーテッドコミュニティで書くか、それともブログや通常サイトなどオープンな環境で書くかの選択をすることになる。だが、闘病記に書かれたそのあたりの状況はかなり不分明でもある。mixiとブログを同時並行で書き分ける例が多いようだが、一度mixiへ行ったものの、「やはり自分の体験をオープンに公開したい」とブログへ戻ってくるケースも少なくない。

これをターゲット設定の問題として捉えると、「mixiと競合するターゲット設定か、競合しないターゲット設定か」の選択がまずある。「競合回避」を選んだ場合は、「ブログで闘病記を書いている闘病者」がターゲットとなる。そうなると現にターゲットユーザーはブログなど外部でUGCを制作しており、コミュニティサイト側でUGCを持つ必要はなくなる。

だが「競合回避」ではなく、あえて巨大SNSに「特化型コミュニティの強み」で挑んでもよかったのではないか。たとえばPatientsLikeMeなら、相手がFacebookであっても、十分に特定のセグメントでは勝てるはずだ。つまり患者SNSは「特化型コミュニティの強み」をどのように構築するかにかかっている。ここを中途半端に作ってしまうと、大手汎用SNSには勝てない。

言いたい放題言ってしまったが、ともあれ、オンライフはしっかりと2.0の発想に根ざしたサイトに作られている。素晴らしい。日本の医療ウェブサービスにおいて、いちじるしい退化および劣化ばかりを目撃してきただけに、このリニューアルオープンには素直に好感が持てた。

リニューアルオープン、おめでとうございます。
Bon Voyage, Onlife !

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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