秋へ向け動き始めるTOBYO

しばらくブログを休んでいた。この間、TOBYOの進路修正などをいくつか検討し、秋以降の展開を考えていた。「iza!」読者のみなさんには、TOBYOといってもまだ馴染みはないだろうが、TOBYOはウェブ上に闘病者が自発的に構築してきた「闘病ネットワーク圏」を可視化し、そこに蓄積されてきた闘病体験の共有をめざすプロジェクトである。「闘病ネットワーク圏の可視化」とは、「どこに、どんな闘病サイトがあるか」を明らかにすることであり、次に闘病ネットワーク圏の横断的検索機能を提供することによって、闘病者が実際に体験した事実と”Wisdom of Patients”の共有が可能となる。

「どこに、どんな闘病サイトがあるか」を明らかにするために、春先から闘病サイト情報収集活動に取り組んできたが、これはようやく当初目標の1万サイトに近づきつつある。日本語の闘病ネットワーク圏がどの程度の大きさであるかは不明だが、現時点の感触では、およそ2万-3万サイトの規模ではないかと推定される。ただ、今年に入って新規開設の闘病サイト数は、以前にもましてかなり大幅に増えているような気がする。もちろん閉鎖されるサイトもあるのだが、全体として日本語闘病ネットワーク圏が膨張を続けていることはまちがいない。

闘病サイト情報収集に基づいて、TOBYOは闘病ネットワーク圏を横断するノイズのないクリアーなバーティカル検索ツールを目指しているが、5月のベータ版公開から「がん、良性腫瘍」に限って検索サービスをテスト運用してきた。当初の予定では、7月の段階で全病名5000サイト対象で100万ページをインデクシングすべく準備していたが、検索エンジンとリソース制限などの問題もあり、結局これは見送らざるを得なかった。その後、いろいろな選択肢を検討してきたが、たとえば「優良サイト」だけに検索対象サイト数を絞り、リソース問題などを解決するという方法も考えた。だが、やはり全闘病サイトを対象にした「悉皆検索」の実現を目ざすべきだという結論に至ったのである。

上記のような検討を経て、闘病ネットワーク圏のバーティカル検索エンジンである「TOBYO事典」は、検索対象1万サイト、検索インデクシングページ数500万を目指したいと考えている。また「どこでもTOBYO!」というわれわれの構想に即して、まずTOBYO事典の検索窓を、TOBYOツールバーをはじめ闘病サイトや他サイトへ配置していきたいと考えている。これによってツールとしての機動性が高まり、闘病者がネット上のどこからでも闘病体験を検索できる環境が整う。また以前から予告しながら一向に姿を見せなかった「TOBYOツールバー」だが、これも近いうちにTOBYO登録ユーザーから配布していく予定である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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