Everywhere TOBYO

連日の猛暑。この暑さのせいか、事務所のPCハードディスクもダウンしてしまった。気をつけないと人間もまいってしまう。目下、TOBYOの諸作業のためにハードワークを続けているが、そろそろ一息入れなければならないのかもしれない。

TOBYOの進行状況を報告しておきたい。現在、ベータ版を公開しているのだが、これはまだ、検索機能限定版である。TOBYOレファレンスにおいてある「TOBYO事典」は、「がん、良性腫瘍」だけを検索対象に限定してテスト運用している状態である。これを近日中に全病名検索可能にする。同時に検索窓をトップページに置くことになる。これらを実現した段階で、TOBYOは名実ともに正式デビューすることになると考えている。また、病名ごとの表示方法を変更することも考えている。

TOBYOの基本三機能「闘病記を探す、闘病情報を調べる、自分の闘病情報を整理する」のうち、現状、ユーザーに最もわかりやすいのは、言うまでもなく「闘病記を探す」機能である。実は多数の闘病記を串刺し検索できる「TOBYO事典」がTOBYOの最もユニークな機能なのだが、この検索機能を使ってユーザーに何が可能になるかを、もう少し丁寧に説明しなければならない。それと「自分の闘病情報を整理する」機能についても、現状は説明材料が不備なために理解が十分ではない。

特にレファレンスに置いてある「フォルダ」機能は、ウェブ上の医学情報をはじめ様々な闘病情報にメタデータを付けながら整理していくSBMツールであり、これも日本の医療分野では、現時点でTOBYOだけが持つ機能なのだが、このあたりの使い方や使用メリットを充分に理解してもらう説明素材もまだ不備である。また、これらTOBYO機能を、どこからでも、常時ウェブ上で使うための「TOBYOツールバー」も早く公開したい。

またTOBYOの病名DBだが、現在、528アイテムを収録している。収録病名追加のリクエストもあるので、これは今後、稀少難病系を中心として収録数を増やしていきたい。ただ、病名によっては、必ずしも医療界で名称統一が図られていないケースもあり、また「表記の揺れ」の問題や闘病者側の病名誤認などの問題もあり、今後、検討しなければならない問題は多い。いずれにせよ徐々に判明しているのは、少なくとも1万件程度の闘病記集合がなければ、稀少難病など「ロングテール疾患」までカバーできないということだ。

以上のように、当面はTOBYO単独の改善ワークに注力することになるのだが、同時にビジネススキーム構築へ向けたコラボレーション作りを、様々な外部プレイヤーと共に検討していくことになるだろう。TOBYOはツールとしてのコンパクト性を重視しているので、他のプレイヤーの様々なサービスと容易にジョイントできる。そして当然、これらTOBYOの機能は、最終的には、個々のユーザーの闘病サイトにも置いてもらい、使ってもらうことをわれわれは目指している。「Everywhere TOBYO!」(どこでもTOBYO!)である。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


Everywhere TOBYO” への2件のコメント

  1.  昨年から延べ10か月間、高齢患者が多い泌尿器科に入院しているのですが、病院への電子機器持ち込みは原則禁止であるけれども、ほとんどの人は携帯電話を持ち込んでおり、病院も携帯の持ち込みは黙認状態です。
     このような状況の中、ブログを更新するために私だけが病室にブロードバンドモバイルとパソコンを持ち込んでいます。

     闘病ブログを閲覧に来られる対象を患者本人とするのか家族とするのかで、情報提供又は共有の方法は変わってくると思います。
     私が、TOBYOに期待するものは、入院患者のための携帯対応のみならずスマートフォン、iPhoneを活用した遠隔医療情報共有システムです。

     闘病ブログを書くハードウェア環境やデータ通信環境が整えば、たとえば得られたセカンドオピニオンの個人情報を隠してスキャニング又は携帯カメラ撮影後アップロードして即公開できるようなシステムがあれば、患者同士又は医療者との情報の共有化が進むと思います。

     こうしたことから、TOBYOには携帯電話での閲覧環境の確保、有料でも良いのでスマートフォン又はiPhoneによる遠隔医療情報共有アプリ、患者、家族及び医師との情報共有化アプリなどの開発を期待します。

  2. ganfighter さん

    日本の病室ベッドサイドまわりのPCネット環境は劣悪ですね。「テレビさえ置いておけばよいだろう」とでも、病院側は考えているのでしょうか。おっしゃるように携帯電話の持ち込みは、ここ2-3年で多数の病院が認め始めているようです。しかし、まずすべてのベッドサイドに、TVではなくPCが置かれることが先決ではないでしょうか。

    米国病院の状況を見ると、院内をWi-Fiなど無線LANでカバーする病院が増加してきています。当ブログでも昨年2月に関連エントリ「患者側のIT化への視線(2) 米国の事例 」で取り上げていますのでご覧ください。

    ご指摘のカルテ共有ですが、これも院内システムとベッドサイドのPCがつながっており、なおかつカルテをはじめ個人医療情報のコントロール権は患者に所属するという原理が確立されれば、ベッドサイドで患者がいつでも自由に自分のカルテを閲覧し、コピーし、また外部転送することができるようになるはずです。つまり、「医療現場の情報化」などと言われてはいるものの、そこから疎外されているのは肝心の患者だった、という現実こそが問題だと思います。

    TOBYOの携帯対応をはじめ、いただいたご提案は、われわれに実現可能なところから着手していきたいと考えます。ありがとうございました。

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