Healiaといえば、先駆的な医療バーティカル検索エンジンとして注目されてきたのだが、なんと今回、患者SNSへ進出したというニュースが伝わってきた。
患者SNS”Healia Communities”は、三つの基本機能を提供している。
- あなたの患者体験を他の人と共有する
- あなたに似た人と連絡を取る
- 医療専門家に質問する
これら三機能を通じて「患者の適切な意思決定を助ける」ことが、どうやらこの患者SNSが提供するコア・バリューであるらしい。登録会員は「Journal」つまり「日記」を書くことによって自分の体験をコントリビュートする。これが会員ユーザーの日常活動ベースとなり、他方、病名別のコミュニティに参加したり、質問を専門家やコミュニティに投げることもできる。また、これら活動の運動量や寄与度に応じて、会員ユーザーはポイントを付与されるが、もちろんこれはユーザーのモチベーション喚起を狙ってのことであろう。
まだベータ版なので細部は不明だが、ではいったい、他の患者SNSとの違いは何なのだろうか?。これについてHealia側は、五点ほど差別化アドバンテージを主張しているのだが、それをいくら読んでも納得感は薄い。あえて言えば「医療専門家の参画」と「医療バーティカル検索エンジンHealiaのサポート」ということになろうが、コンセプト設計レベルのちぐはぐ感は払拭されない。
最初にこのサイトを見た時、間違えて他のサイトへ来てしまったのか、と一瞬思った。かつてのHealiaのシンプルでクリーンなデザインとはまったく異なる、フツウのポータルライクなトップページがそこにあったからだ。これは何か以前のHealiaが具えていた、「徹底的に贅肉をそぎ落としたシンプルな潔さ」という世界観からまったく逸脱した「別物」と言うほかない。
そう言えば、昨年、Healiaはあるメディアグループに買収されたはずだ。そのため経営方針が根本的に変わったのか、どうやらかつてのあの先進的な開発姿勢は、今のHealiaには望むべくもないようだ。非常に残念である。
三宅 啓 INITIATIVE INC.