2008年、医療IT動向予測

sunrise

年の瀬である。今年もあと残すところ10日あまり。来年のことを言えば鬼が笑うのだが、そろそろ来年の予測なぞやってみてもよさそうである。と、思っていたところに折よく、医療IT界ウォッチャーにしてiHealthBeatのレポーターを務めるJane Sarasohn-Kahnさんが、「Get Out the Crystal Ball: Predicting What’s Next for Health IT」というネタを提供してくれているではないか。ありがとうジェーンさん。今回は、ジェーンさんの予測を頂戴しよう。

予測1. 医師のインターネット利用は増え、新たな医療ウェブメディアが勃興する

ブログのようなソーシャルメディアを、医師や医療専門家がどんどん活用するようになってきている。2007年はボストンのべスイスラエル病院のポール・レビット院長ブログや、HHS(米国保健社会福祉省)のマイク・レビット長官ブログなど、医療界の有名人が競ってブログを開設したが、この流れは来年も続くであろう。また先日発表されたジュピター・リサーチ社の調査によれば、医師が患者とコミュニケーションする時のeメール利用率は、この二年間に倍増(20%→39%)している。

新しい医療ウェブメディアとして、2008年には動画サイトがますます重要になる。医師向けポータルサイトであるMedemは、近くYouTubeとの提携に乗り出すものとみられている。医療情報における動画情報の重要性は以前から指摘されてきたが、2008年には医療動画情報サービスサイトがブレイクしそうだ。

予測2. メインストリームのマスメディアは、ますますウェブ医療情報分野の陣取り合戦に乗り出す

数年前からウォールストリートジャーナル紙は、医療情報記事ページを同紙にとって重要なものの一つと位置づけてきた。そして今や同紙は、大量のスタッフをウェブセクションに投じ、ブロガーまで雇うようになっている。2008年には、さらに大手マスメディアの医療情報は印刷媒体からウェブに移動し、ウェブ広告料を稼ぐことをめざすだろう。

予測3. RHIO(Regional Health Information Organizations)の行き詰まりがさらに進む

HealthAffairs誌によれば、2006年7月に全米で稼働していたRHIOのうち四分の一が2007年中に閉鎖され、2008年にはさらなる破産が予測されている。現実に稼働しているRHIOは、わずか数パーセントにすぎないという報告もある。RHIOは、いまだ持続可能なビジネスモデルを見つけられずにいる。検査ラボと結びついたRHIOだけが成功しているのだが、これは説得力のあるビジネスモデルではない。

予測4. より多数の消費者がPHRを持つようになる

特に「サンドウィッチ・ジェネレーション」と呼ばれ、高齢両親と子供の双方に挟まれ、双方の健康管理をしなければならない世代の消費者にPHRが普及していく。2008年にはインテル、ウォルマートらのDOSSIA、Aetonaはじめ医療保険会社のPHR、そして医療機関のPHRなど、各プレイヤーからPHRが大挙リリースされる。消費者が多種多様なPHRに混乱することは避けられそうもない。そうなると、それぞれのPHRを評価するサービスがローンチされる可能性もある。PHR市場はこの増殖期を経て、混沌期へ、さらに整理統合期へ移行する。マイクロソフトのHealthVaultは、近い将来における独占的地位を獲得できないだろう。

予測5. 医療情報は一層モバイルになり、どこでも提供されるようになる

2008年は医療情報のモビリティーが増大する。ということは、ますますユビキタスな医療情報利用ができるようになる。英国ボーダフォンのように、遠隔医療に携帯を活用する実験も続々と開始される。また米国の場合、来年、衛星ラジオで医療専門チャンネルが増える。

予測6. 医療におけるクチコミ情報が増える。でも、「誰かに見られている」。

患者ブログの増大により、医療製品やサービスの提供者は、ますます彼らの評価を追跡せざるを得なくなる。患者ブログ調査だけで食っていける市場調査会社まで存在しているが、2008年に彼らの仕事は、患者がさらに医療機関、調剤薬局、医療保険会社についてのCGCを製作すればするほど増えるだろう。そして、明らかにプライバシーとソーシャルメディアの矛盾が明白になるだろう。これに関連し2008年末には、新たな医療情報トラスト・アライアンスの医療情報セキュリティをめぐるフレームワーク・ドラフト案が発表される予定。これには全米の大企業155社が参加している。

予測7. 医療評価はもっと洗練される

医療レイティングの代表的企業であるHealthGradesがGoogleと組み、GoogleHealthに病院・医師レイティング・データを提供することが予想されている。

予測8. 2008年。政治家は医療ITに肯定的に取り組む。

大統領選挙の年である。ヒラリー候補、エドワード候補、ジュリアーノ候補、そしてオバマ候補などは皆、医療ITを促進、そして医療の透明化と予防促進を通じた品質改善を公言している。どの候補も、選挙キャンペーンで医療IT化の計画推進と予算増を公約している。

以上がジェーンさんの2008年予測を要約したもの。さて、どうなるか・・・・・。しかし、これらはもちろん全てアメリカの話。日本ではどうかと考えると・・・・・。うーむ。正直、日本で医療IT化やHealth2.0の姿かたちは、一体何処にあるの?。という状態。だが、ここはわれわれベンチャーが状況を変えていくしかないのだ!!。

photo “sunrise.today.drama” by eye of einstein

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>