拡大路線を突っ走るRevolutionHealth

revolutionhealth2

今春ローンチしたRevolutionHealthは、その経営者の豪華な顔ぶれと投資総額の大きさで注目されたが、今月、一年もたたずしてウェブ医療情報提供サービスのナンバー2の地位を獲得した。

業界ナンバーワンのWebMDを急追することがRevolutionHealthにとっての至上命題だが、買収とアライアンスを使って、なりふり構わず規模の拡大を図っている。今回発表されたのはHealthTalkの買収、そしてSparkPeopleへの出資によるアライアンス締結である。

HealthTalkは慢性疾患患者向けの医療情報提供サービスサイトで、約50万人のコミュニティメンバーを獲得しており、月間ページビューは約800万。SparkPeopleのほうは、ダイエットとウェルネスに関する情報とアドバイスを提供するサイト。月間ページビューは約8千4百万を数える。一方、RevolutionHealth本体は、秋口までに月間9千万ページビューを達成していたが、さらに10月、医療関連ショッピングサイト”drugstore.com“を戦略的アライアンスによって取り込み、グループとしての月間ページビューは約1億5百万に達していた。今回のHealthTalkとSparkPeopleのグループ化によって、グループ全体の月間ページビューは約2億となった。これはYahoo!Health、MayoClinic、iVillageなどの有力医療関連サイトを抜き去り、WebMDに次ぐ「ナンバー2」のポジションを得たということだ。

「RevolutionHealthネットワークは、毎日の健康フィットネス改善を求める人々からケアを受けている慢性疾患患者まで、すべての健康ステージの人々のためのオンライン医療資産である。」とRevolutionHealthのCEOスティーブ・ケース氏は述べているが、まさに買収とアライアンスによるドメイン拡張戦略により、オールニーズ全方位対応、「全天候型フルライン医療サイト」の道をひた走って来た。そして一年もたたずして、その先に宿敵WebMDの背中を捉えるところまで来たのである。

ウェブ医療情報提供サービス市場は、永らくWebMDの独占独走状態が続いていた。ようやくその独占状態に終止符が打たれ、市場は競争的性格を強めていくことになろうが、鎬を削る競争によってユーザーにより良いサービスが提供されることになれば、言うまでもなくこれは慶賀すべきことである。だが、その一方では過度の拡大路線の追求によって、RevolutionHealthはWebMDとの同質化の道を歩んでいるのではないかという批判もある。後発としてのRevolutionHealthは、2.0的な機能を積極的に取り入れることで先行するWebMDとの差別化を図ってきたが、急速な拡大路線はそれを中途半端なものに希釈しつつある。

「100を超える健康ツール」を擁し多機能を誇るRevolutionHealthではあるが、その一つ一つを仔細に検討すれば、目新しいものは何一つないとも言える。つまり、エッジを切り出すようなアイデアではなく、物量を極めた量的圧倒感だけが突出しているように見えるのだ。このようなマーケティングは、果たしてユーザー・オリエンテッドと言えるだろうか?。しかも、「医療サービスとの親和性」という点は考慮されているのだろうか?。様々な疑念が立ち上がってくるのである。

来年から、WebMDとRevolutionHealthの熾烈な市場争奪戦が始まるのは間違いないだろうが、今からはっきり言えるのは、これは「1.0対2.0」の競争ではないということだ。

<参照>

●ニュースリリース
“Revolution Health Network now second largest health property on the internet”

三宅 啓  INITIATIVE INC.


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>