生きていたGoogle Health

marissamayer

一昨日、「こ~いち」さんからコメントをいただき教えてもらったのだが、サンフランシスコで今月17日-19日開催されているWeb2.0サミットでGoogleの「検索製品および利便性の向上担当副社長」であるマリッサ・メイヤー氏(写真)が、GoogleHealthの2008年初め起動を発表した。こーいちさん、ありがとうございました。

「医療に目を向けると、そこにはすでに巨大なユーザーニーズが存在しており、すでに人々は医療情報を探すために、他のウェブ上のどのツールよりもGoogleを利用している。そして医療業界は毎年膨大な量の情報を生み出している。これら全てのデータをオーガナイズする方法を理解することは、われわれの本来の中核能力である」。
(By Richard Martin,InformationWeek,10,17, 2007)

このWeb2.0サミット席上のマリッサ・メイヤー氏スピーチでは、GoogleHealthをあまり詳しく説明する時間がなかったようだが、以上のようにGoogleの「本業」である検索機能によって、消費者の医療情報ニーズに対応するという方針が述べられている。これは妥当であるとは言え、以前のアダム・ボスワース氏の問題提起の水準から見て、大きく後退している印象を与えられた。だが、マリッサ・メイヤー氏は8月ボスワース退任時点からGoogleHealthプロジェクト引き継いだばかりであり、このあたりやむをえないのかもしれない。

またメイヤー氏は、GoogleHealthがフォーカスするポイントとして、医療の改善、患者データをより利用しやすく携行しやすくすること、そして医師の業務低減化をあげた。この医師の業務低減化というのが、今回、新しくGoogleHealthの焦点として付け加えられたのであるが、かつて、消費者中心のビジョンを「消費者の三つのコア・アビリティー」という考え方で強く主張していたアダム・ボスワース氏とはかなり異なる方向性である。

さらにメイヤー氏は、GoogleHealthの一部を有料にすると述べているが、これに対して各方面から強い違和感が表明されている。確かにGoogleはほとんどのコンシューマー・サービスを無料で提供してきたのであり、一部とは言えGoogleHealthが有料になるというのは、一体どのような理由によるのであろうか。

先月のHealth2.0コンファレンスにおけるGoogleマーケティング担当のミシー・クラスナー氏の発言といい、今回のメイヤー氏の発言といい、何かGoogleHealthプロジェクトがこれまで持っていたはずの羅針盤を失い、一層の迷走をはじめているような、そんな懸念を払拭できない。

Photo by PinarOzger

三宅 啓  INITIATIVE INC.


生きていたGoogle Health” への1件のコメント

  1. 三宅さん

    わざわざ記事として取り扱っていただきありがとうございます。

    Googleはサービスのスタートアップ前に技術者からの提案がまず先にあって、それをマネジメント層によって評価・ビジネスモデルの構築を行った後にサービスをローンチする体制みたいなので、

    今までの経緯を考えると
    Googleの技術力から考えて可能であるGoogle Healthが遅れたのは評価・ビジネスモデルの構築に相当議論が紆余曲折していると考えています。

    確かにこのサービスは技術的な問題よりも
    1.どこで儲けるか(広告Onlyで採算性はあるのか)
    2.クリティカルマスのユーザを確保できるか
    3.データのセキュリティはユーザを満足させるものか
    の三点が相当難しそうです。

    今までβ版を早く公開し、ユーザの要望から迅速に軌道修正をすることでクリティカルマスのユーザを確保してきたGoogleの開発戦略が、医療情報というセンシティブなデータを扱うので相当慎重になっているのでしょう。
    このサービスは適当な物をβ版として出すとユーザから一気にそっぽを向かれてサービスとして壊滅的な打撃を受けるからでしょうね。

    だらだらと駄文を書いてしまいましたが、
    Google Healthのローンチを今か今かと楽しみにしています。

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