医療バーティカル検索エンジンに注目

healthline

最近、医療専門バーティカル検索エンジンの活躍が目立つ。“Medstory”のMSN搭載、大手出版社による医療検索エンジン”Healia”の買収など、医療情報サービスにおける医療バーティカル検索エンジンが注目されはじめてきた。なかでも最も積極的な動きをしているのが“Healthline”である。

7月16日、医療バーティカル検索エンジン”Healthline”は、いくつかの著名な企業からの資金調達とパートナー契約締結を発表した。今回の資金調達は合計2100万ドルで、大手医療保険のAetnaとKaiser Permanente、大手出版社のReed Elsevier、そしてメディアグループであるNBC Universalが調達先であるとしている。

パートナー契約の方は”Healthline”の検索機能をライセンス供与するものであり、まず,”AOL Body”の検索エンジンが”WebMD”から”Healthline”に変えられた。続いてこの秋から、NBS UniversalのWebサイト”iVillage Total Health”の検索機能が、従来のYahoo!サーチから”Healthline”に変更され、またAetnaのWebサイトもHealthlineに変わる予定。

このように”Healthline”は積極的な活動を繰り広げはじめたが、その背景には、医療バーティカル検索エンジンをめぐる競争激化が指摘されている。Googleは”Co-op”、MSは”Medstory”と、検索大手が医療においても着々と布石を打つ中で、中小検索エンジンが生き残る道は限られている。

1)バーティカル検索機能の強化
2)ライセンス供与の強化

大手検索エンジンと対抗するためには、まず特定分野に特化した強みを最大限強化していく必要がある。つまりバーティカル検索エンジンの機能強化へ向け、投資に集中する必要があり、そのための資金調達が求められるわけだ。そして次に、自社検索エンジンのトラフィック拡大と、それによる実質上の検索シェアアップをねらっていくことになる。そのために、大手ポータル等に対する積極的なライセンス供与に打って出ることになる。

“Healthline”のこの間の積極的展開も、以上のような戦略定石に基づくものであるが、だが、これとて「大手による将来の買収」の可能性を否定するものではない。いずれにせよ、Web医療情報提供サービスにおいて、検索エンジンが競争上の重要な戦略ポイントに浮上してきたことだけは間違いない。他の分野ではなく、他ならぬ医療が、バーティカル検索エンジンが最も必要とされる分野であることが、次第に明白になってきたからだ。

Source: THE WALL STREET JOURNAL, Jul 16,2007

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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