英NHSとMicrosoftが医療UI標準化を提唱

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マイクロソフトの医療部門「マイクロソフト・ヘルス」は、英国NHS(National Health Services)と共同し、安全で一層便利な新世代医療アプリケーションを、早く簡単に作ることを可能にするデザインガイダンスとコントロールの標準化に着手した。この標準UI(ユーザーインターフェース)はCUI(Common User Interface)と呼ばれている。

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NHS側は“NHS Connecting for Health”が実際の標準化作業参に参加しているが、これはNHSのIT導入に責任を負う組織のようだ。たしかにNHSにとって、英国全土の傘下医療機関Webサイトや業務システムのUI標準化が大きな課題であった。またNHSのみならず、これは今後の医療ITシステムのありかたにも関わる重要な問題でもある。

データ表記の仕方や用語の統一など、ユーザーの立場に立った使いやすさへの配慮は、今後の医療アプリケーションにとって必要不可欠なことだが、まだまだこの分野は取り組みが遅れているといわざるをえない。その意味でこのような標準化の提唱は歓迎するが、この試行が、単なるデファクト・スタンダードねらいの囲い込みの一環でないことを願う。このような標準化は、決して一企業が独占するようなものではなく、まさにオープンソースのような開発の方法や発想が必要だと考えるからだ。その意味では、NHSのような公的機関が開発に携わっていることは良いことだと思う。

従来、医療分野のWebサイトなどのガイドラインと言えば、HONやURACのようなものが存在した。だがこれらはEthical(倫理的)なガイドラインであることが標榜され、具体的な表記方法やデザインを含む広義のインターフェースの指針を目指すものではなかった。たとえ文字表記やレイアウトのポイントを指示するものであっても、それらはもっぱら一般的な注意喚起を促すものにとどまり、デザイナーや開発者が実践的な指針として利用できる具体性を欠いていたのである。

今後、医療分野のWebサイトの指針となるガイドラインは、このCUIのようなものになっていくのではないだろうか。HONやURACのようなガイドラインは、明らかにWeb1.0時代の発想であり、もはや時代に合わなくなってしまった。「当該ガイドラインが求める基準をクリアすれば、認証マークなどを掲出する」などということで、果たしてユーザーに情報の信頼性を担保できるのだろうか?。このような発想は、今日すでに時代遅れになっている。

三宅 啓 INITIATIVE INC.


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