医療現場で活躍するiPod

Podcasting

Apple社にとって起死回生の大ヒットとなったiPodであるが、医療現場でこのiPodを活用する例が増えてきている。最近の主な利用例を三つ紹介しよう。

●メディカル・ポッドキャスト

フェニックスにあるアリゾナ心臓研究所病院の心臓外科医ギャリソン・ウィートリー氏は音声ファイルを作り、複雑な医学問題をポッドキャストで患者にわかりやすく説明している。また確立した外科処置、新しい治療方法の講義や教育情報を映像にまとめ、ビデオ・ポッドキャストで患者に提供している。

アリゾナ心臓研究所病院では「心臓血管マルチメディア情報ネットワーク」を立ち上げた。これは、患者や医師のために作られたポッドキャスティング音声ファイルのライブラリーで、無料でダウンロードできる。また「米国医師会ジャーナル」 もポッドキャスティングでニュース配信を開始した。

●メモリーデバイスとしてのiPod

米国の二人の医師が”OsiriX”というソフトを開発した。このソフトは、iTunesがiPodを認識するようにiPodを認識し、大きな放射線イメージファイルをiPodに素早くダウンロードする。マッキントッシュだけで利用可能だが、高価なワークステーションと同じくらい効率よくデータを閲覧し操作できるという。このソフトはAppleを通じ、オープンソース・ソフトとして無料で利用できる。

●心臓サウンド

心臓内科医でフィラデルフィアのテンプル医科大学のマイケル・バレット教授は、4タイプの心雑音ファイルをパソコンで作った。そしてそれをMP3ファイルにコンバートし、学生がダウンロードしてiPodで聞けるようにした。この心雑音トレーニングのおかげで、心雑音を聞き分ける学生の正答率は90%になった。ちなみに普通の医学生、研修生の正答率は20%-30%である。さらに、ACC(アメリカ心臓科大学)ではウェブサイトに「ハート・ソングス」 というコーナーを作り、バレット教授のこのMP3ファイルをオンラインでダウンロードできるようにしている。

ポッドキャスティング医療利用の可能性

以上のように医療分野でも活用が始まったポッドキャスティングであるが、たしかPHR(Personal Medical Records)にもiPodを利用したサービスがあったと思う。米国の図書館ではオーディオ・ブックをiPodに収録し、iPodごと貸し出ししているが、多忙な人にとってポッドキャスティングでいろいろな情報が利用できるのはありがたい。

患者にとっても、「目で読む情報」よりも「耳で聞く情報」のほうが身体的負担が少なく、楽に情報に接触することができるのではないだろうか。院内ポッドキャストの仕組みはすぐに作れるはずだ。

実は以前、当方からある大手病院に「医療情報のポッドキャスティング『医療ラジオ』企画」を提案したことがあった。コストもあまりかからず、実現寸前まで行ったのだが、結局、とどのつまりはフェードアウトであった。日本の病院と言うのは摩訶不思議なところだ。企画の価値も、コストパフォーマンスも認識しながら、最後の「実行力」および「責任感」が決定的に欠落しているらしい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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