米国医師会と2.0企業の提携

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5月30日、米国における代表的な医師向けSNS「Sermo」は、米国医師会(AMA)との提携合意を発表した。

「Sermoコミュニティは、彼ら医師の声をAMAと共有し、医療の最前線で新たに生起する問題を討議することによって、医師のための革新的なフォーラムになる。」とAMA議長セシル・B・ウィルソン氏は述べている。「Sermoのバーチャル・コミュニティと協調することは、合衆国中の医師がかかえる問題点や関心事に、素早くアクセスし回答するために必要なAMAのリソースを増大することになる。」

AMAとSermoの提携内容は以下の諸点が発表されている。

  • 医師とAMA首脳の間にダイレクトなコミュニケーション・ラインを創出する。
  • 「Discuss on Sermo」リンクを、「Amerivcan Medical News」などAMAのオンライン出版物に設け、医師がAMA配信のニュースについて直ぐに論じることが出来るようにする。
  • 公共医療問題に関するAMA政策展開にSermoを活用する
  • AMA会員のために特別ページをSermoに設ける
  • Sermoコミュニティで最もホットな話題を、AMAの週刊ニュースレターに掲載する。

この提携をめぐり米国ブロゴスフィアでは、AMAのような米国医療エスタブリッシュメント団体が「2.0のバンドワゴンに飛び乗った」と話題になっている。たしかにSermoは医師SNSではトップブランドだが、サービスを開始したのは昨年の9月からであり、まだ創業してから一年もたっていない。医療における2.0ビジネスは他産業に比べ大きく遅れているが、このSeromoの大躍進が「風」を起こすかもしれない。

ユニークなビジネスモデル

Sermoは無料サービスであり、しかもいかなる広告掲載もプロモーションもなしである。ではどうやって収益を上げているのか?。Sermoはこれを「a system of information arbitrage」というビジネスモデルで説明している。「情報裁定取引」とでも訳せばよいのか?。具体的には、医療機関、金融企業、アナリスト等に対し、Sermoコミュニティに蓄積された集合知(Collective Wisdom)へのアクセス権等を有料で提供しているらしい。つまり集合知を売っているのである。この「集合知を売る」というビジネスモデルは、今後の2.0ビジネスにおいて注目すべきものだと思われる。興味深い。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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