イギリス医療崩壊

britishmedicalblog

少し遅れましたが、先月、web医療ジャーナルサイト「MedGadget」が2006年メディカル・ブログ大賞を発表しました。今回、イギリスのNHS(National Health Service)に勤務するジョン・クリッペン医師のブログ「NHS Blog Doctor」が下記の三部門を受賞。

Best Medical Weblog
Best Literary Medical Weblog
Best Health Policies/Ethics Medical Weblog

このブログの作者紹介ページには「ドクター・ジョン・クリッペンは怒っている。彼はNHSで20年間働いてきた。彼は公共医療サービスが、ゆっくりと、しかし容赦なく崩壊するのをじっと見つめ、涙している。」と記されています。イギリスの医療崩壊は「可能性を論じる段階」から「現実の問題」となりつつあるようです。

イギリスの場合、医療費を抑制しすぎた結果、医療荒廃が始まったわけですが、ブレア政権下で医療費を大幅拡大してもなおその崩壊プロセスは止まらなかったといわれています。日本でも「医療改革とは医療費抑制のこと」らしいので、他人事ではないでしょう。日本の近未来の姿がイギリスなのかもしれません。

日本の国民医療費はGDP比で7.9%。これはOECD諸国中17位になります。(2003年時点:OECD Health Data 2005より)。これを「日本医療の効率の良さ」などと言う向きもありますが、単に国民の健康を軽んじているということではないのでしょうか。財政逼迫の折、効率を追求することは必須でしょうが、ただでさえ国際比較で少ない医療費をさらに縮減していくことがどのような結果をもたらすかを、イギリスの例に学びながら立ち止まって考える時期に来ているのではないでしょうか。「医療改革=医療費抑制」という単純等式を掲げさえすればよい時代は、終わったのではないでしょうか。

三宅 啓   INITIATIVE INC.


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